第47話クリスマスミサに向けて!
クリスマスミサに向けて練習だー!
「やっほー!」
レッスンルームの扉を勢いよく開けるとエミリアの姿があってホッとした。
「頑張ろーぜ!」
ニッコリ笑うとエミリアも笑って頷いた。
もう、最近サボりまくっていたので発声からやり直しだなあ。
この曲ってソロパートが非常に頑張らないと厳しい歌だと改めて楽譜を見て思う。引っ張って行かねばならないのだ。
「一応、大司教様のリクエストのもう一曲も書いてきたわ」
キャサリンは自宅療養中にHail Holy Queenと言う曲の楽譜を書いてくれていた。
ほほー。これは女性向きだなー。
「ヘイル、ホーリークイーン、エンスローン、アバウブ♪」
「初見で音程合ってるし。。」
ボソリとキャサリンが背後で呟く。
ぶっっと吹き出してしまった。
「なあ、ちょっと歌詞変だよな。アメリカ的なノリ。おもろいけどね」
キャサリンの耳元で囁く。
「いいんじゃない。日本のクリスマスソングって別れの曲や彼氏彼女への曲ばかりなんだもん」
療養中に気を紛らわす為に楽譜書いたり曲を思い出したりしていたらしい。
編曲を兼ねて久しぶり全員揃っての音合わせ
やっぱり皆、上手いよなあ。
アルト:キャサリン
メゾソプラノ:エミリア
ソプラノ:ルナリー
テノール:クライス
テノール:ジョージ
バリトン:ジェファーソン
バリトン:ルイス
バス:カイン
で、今構成している訳なのだが。何だろうインパクト。
あー。本物のゴスペルって奴が聞いてみたい。
前世の記憶では黒人ってこんな声楽っぽくない声でもっとガツーンとした感じ。体格、骨格の差?声の出し方?あーどう言う感じか忘れたー!
知りたい。。聞きたい。
「本物の黒人歌手の声が聞きてー」
私は思わず心の声が漏れる。
「ルナリー?この曲ってそうなの?」
クライスが聞いてくる。前世の映画音楽とは言えないしなあ。
「黒人歌手の曲って訳では無いけれどこの曲の歌い方が声楽やオペラとは異なるの」
キャサリンが説明をしてくれる。
「もっと野太い感じのイメージなんだよなあ」
解ったか解らないか不明だが取り敢えず首を傾げながらクライスは頷いている。
「外国にしか居ませんね」
王子がそう言った。私はこの世界の各国事情は詳しく知らない。
テレビも無いし。解っているのは他国との国交はある。戦争などはない世界という事。
前世を思うと平和な世の中だなあと思う。
「行ってみましょか!海外旅行!」
王子がニッコリと微笑まれる。
「どうせやるなら本格的に。声の発声法とか聞けたら良いですよねえ」
王子が暴走を始めた。。
「アテあんの?」
海外旅行とか昔も今もした事がない。
海外情勢も解らない。ボードウェン国ってのは前世じゃなかったし。バカでもそれくらいは知ってるしアメリカも今世にはないよなあ。
「南ピアーナ共和国って国が国交がありますよ」
あーあー。世界地理で習った。
「子供の頃にそこの国で黒人霊歌ってのを聞いたんです。あれは素晴らしかった。キャサリン凄いですよ。黒人霊歌をイメージしてたんですね」
王子は勘違いから目を閉じてその頃を思い出し感動していた。
キャサリンはちょっと複雑そうな顔をしていたが愛想笑いを浮かべている。
「でも、ジェファーソンどうやって行くんだ?鉄道でも結構時間かかるし学校休む事になるよなあ」
ルイスは腕組みして距離を考えている様だ。
「飛行船があるじゃないですか!うちの国の」
わー。王子、国の持ち物使う気だ。使えるんだろうけど。
「えと。あのお金がそんなないので。。海外旅行とか」
エミリアが慌ててそう言った。うちもそうだ。
「うん。金がないなあ。いくらかかるんだ?」
「音楽交流って事で話通しますよ。お金要りませんよ」
王子、音楽とキャサリンの事になると暴走するな。
暴走王子。。
「海外旅行かあ。皆で行くって楽しそうですね」
「知らない音楽を学ぶってのが良いですね」
ジョージとクライスが意外にも乗り気。
「飛行船。空か。。行きますけどね。うん」
カインは高所恐怖症なのかもしれない。少し嫌そうな顔をしていた。
何だかいつの間にやら海外遠征が決定しそうだ。
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