人嫌い、話す
「…それじゃ…何しようか。」
「普段寝てる時間ですから、なんだかドキドキですよ!」
「け、健康的だね。」
「期待。」
「私もここまで遅く起きているのは、忘れていた宿題を思い出した日以来だ。」
「生徒会長も、結構ぬけてる所があるのね。」
「寝るつもりはないと。」
「みゃー。」
麗華家に着いた秀人たち。このまま寝るだけと思っていた秀人だが、夜はこれからのようだ。
「…みんなは…何が好きなの?」
「そ、そういえば、お互い好みも分からないっけ。」
「僕は」
「髙山くんは何となくわかるよ。」
「不思議なことに、ここにいる人はあなたの事は知ってるの。でも、あなた以外を知らないの。」
「先生の事は分かってきましたが、他の方とはあまり関わらないですね!」
「確かに。」
「…変な話…だよね。」
「よ、よくあることだよ。四人グループがあったとして、中心人物はよく知ってるけど他とは話を合わせるだけ。」
「今回で言えば、髙山くんが真ん中。私たちは高山くんを通しての会合だけで、個人間でのやり取りは少ないな。」
「これを機会に、みんなそれぞれで仲良くなってよ。僕はどこか遠くで、その光景を見守るから。」
「みゃー。」
「見守る姿が想像つかないけど、彼がいないと成り立たない集まりかもしれないわね。」
秀人には分からないが、麗華たちが会ったきっかけは秀人だ。そして秀人がいるところに集まり、何気なく会話をする。彼がいるから集まる、そんな空気があったのだ。
「1つ聞くけれど、彼抜きで遊んだことある人はいるかしら?」
「「…」」
「え何それ、全員仲悪いわけ?」
「…ほとんど毎日…一緒にいた。」
「ぼ、僕が誘うなんておこがましいこと…」
「先生に尽くすことが生きがいですから!」
「みんなでご飯はあるが…遊びか。」
「ない。」
「自然と、あなたがいるから遊ぶことになってたの。」
「どうして僕が、参加条件にされるんだか。」
「…秀人は…友達。」
「違うけど。」
「先生にお供するのは当然です!」
「遠慮したいんだけど。」
「ひ、1人の強さを学ぶために。」
「もう1人じゃないんだから、する必要なくない?」
「高山くんはご飯友達だからな。」
「友達ではないですね。」
「あなたがいると、何か面白そうだもの。」
「人を見世物みたいに。」
「楽しい。」
「世の中もっと楽しいことあるから。」
友達の友達は自分とも友達。そううまい話はあまりなく、この場ではそれが痛いほど伝わってきた。彼らは秀人の自称友達、もしくは知り合いに当たるだろう。しかし秀人がいなければ、お互いを何と呼べばいいのか分からないのだった。
「…大山は…付き合い長い。」
「この中だと、先生に次いで最長ですね!」
「その次が私か。」
「…昼食会の…始まり。」
「そ、その後で僕と。」
「私が遠足で、やっぱり彼を通して知り合ったわね。」
「最後。」
「付き合いの長さって、関係あるわけ?」
「…多分?」
「きっと関係ありますよ!」
「どうだろうか…」
「ま、まあ一緒の時間が長いのは、良いことじゃないかな。」
「友達。」
「まあ。長い時間を過ごすことが条件なら、私たちは友達なのかしら。」
「…私は…みんな友達かと。」
「んー…それでいいと思いますよ!」
「と、友達…なんか恥ずかしいけど。」
「フレンド。」
「大事な後輩だが…うん。友達もいいものだ。」
「はっきり口に出さないと、関係は伝わらないわね。」
「はいはい友達できてよかったね。これもうさ、僕いらないよね。」
「「それは別。」」
「…何が別なのさ。」
「みゃー。」
秀人以外の繋がりが強くなり、秀人の悩みがまた増えた日になった。
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