人嫌い、語り合う

「さて秀人ー友達になろー?」


「嫌です。」


「…強情。」


「本当に勘弁してよ。友達が欲しいならほら、この場には僕以外にも人がいるじゃないか。」


「先生と友達になることが目的ですし!我々では、満足できないようです!」


「そこまで僕にこだわる理由ある?」


「高山くんがいなければ、この集まりはなかったと思う。つまり君は特別なんだよ。」


「うわ意味わからない。」


「た、高山くんは友達いらないの?僕は喉から手が出そうだけど。」


「その一発芸に興味はあるけど、友達はいいかな。」


「無理強いも良くないわ。別に1人が悪いとか、そんな決めつけの話ではないでしょうけど。」


「理解者がいると楽だよ。」


「えーやだやだー。」


「…やだー。」


「僕も嫌だから。」


喫茶寄り道の一角を貸切りにし、始まったのは秀人と友達になろうの会だった。もちろん秀人はこれを拒否、すぐに帰ろうとしたが囲まれていて逃げるタイミングを無くした。


「おっす高山、久しぶりだな。」


「心愛ちゃんに呼ばれたんだけど…知らない人ばかりだね。」


「おー沙弥ちゃん明奈ちゃんー。」


「…どうも。」


「こんにちわ!」


「月宮くんの友人かい?よろしく。」


「じょ、女性だらけ…いづらい。」


「お邪魔してるわ。」


「なんで呼んだのさ。」


「2人にもー友達の線引きー聞きたくてー。」


「友達か…分かりやすいのは、キズナで繋がってるかどうかだろ!」


「私はこうやって、放課後に集まれる人かな。」


「あれれー?秀人ー全部満たしてるねー。」


「…不思議。」


「何が言いたいのさ。あとその顔やめてよ腹が立つ。」


「あとは先生次第、と言いたい顔ですね!」


「高山くん、ここらでどうかな?」


「み、みんな怖くないの?高山くん凄い顔してるけど。」


「爆発寸前ね。逃げようかしら。」


「お前らは高山の友達か?」


「だとしたら、私たちとも仲良くしてね。」


「「友達ではないです。」」


「…どーゆことだ明奈?」


「…分からないわ。なんで揃って否定できるんだろうね。」


「秀人がー強情?なのー。」


「…なのー。」


「うっさいな。顔見知りとかクラスメイトとか、友達じゃなくてもそれで良くない?」


「それじゃー他人と変わらないー。」


「どれだけ親しくなっても他人は他人、それ以上に関係が進むのは夫婦とかじゃないの?」


「…飛びすぎ。」


「間に友達が入る事もありますね!」


「まあ親しさの進み具合として、他人の次は友達ではないかな?」


「む、難しい話になってきたね。」


「そう?人間関係の進み具合は、相手をどう呼ぶかで分かるものよ。多分彼は、そこがまだ未経験みたい。」


「今まで友達0じゃー仕方ないか?」


「あそこまで押されて拒否するのは、ちょっと違うかもね。」


「秀人にはーまずここをわかってもらいまーす。」


そして紙を取り出し書き出す心愛。そこには矢印と共にこう書かれた。

他人→顔見知り→知り合い→友達→親友→腐れ縁


「これは何さ。」


「見ての通りー関係の進み具合ー。」


「…一般的…と思う。」


「そうですね!順番は人によりますが、だいたいはこうかと!」


「これが世間一般と考えてくれ高山くん。」


「と、友達までは遠いね。」


「友達から下がる可能性もあるわ。」


「んー…難しい話だな!」


「沙弥ちゃん。そこまで難しくないよ?」


「それじゃー秀人にはー分類してもらおー。」


「それはこの場の人間を、この表に当てはめるってこと?」


「…よろ。」


「うっわめんどくさ。」


しかし早くも書き始めた秀人。その分類は、5分とかからなかった。


「はい完成。」


「どれどれー…ウチは顔見知りかー。」


「…顔見知り。」


「自分もです!」


「私もだ。」


「ぼ、僕も。」


「あら、私は知り合いなのね。」


「俺は顔見知りか。まあ他校だし、心愛がいないと話さないよな。」


「私も。」


「これが、今の僕にとっての君たちさ。図書委員は本の好みや、歴史のあれこれを話せる知り合いと判断したよ。他の人は正直、何が好きで嫌いとか知り合おうともしてないから顔見知りかな。」


「うえーん反論できないー。」


「…同じく。」


「先生のことを知ってばかりで、自分のことはお伝えしたことないですね!」


「…ご飯を食べるくらいだな。」


「ぼ、僕も知ろうとはしなかったかな。」


「あの博物館の話は良かったわね。」


「そして、職場の先輩友達は顔を知ってるから顔見知り。話なんてほとんどしてないし、名前も忘れそう。」


「うっし!今度の休み遊ぼーぜ!」


「いやです。」


「心愛ちゃん絡みの件以来、会うの初めてだもんね。」


「そーいえばー確かにー。」


「まあ良かったじゃないか。少なくともこの場に、僕にとって他人はいないさ。」


「…その認定は…傷つく。」


「ですね!」


表に表された秀人視点の周りとの人間関係。今後知り合いに上がるために、闘志を燃やす心愛と麗華だった。

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