第26話 迷子の迷子

「さあ! 武器は手に入れたぞ! 希!」

「そろそろ狩りの始まりね! 望! 遅れないでよ!」

 LAWS国家試験2次が始まった。舞台は、東京メトロ銀座線。それなのに表参道駅から勝手に離れ、明治神宮までお参りに行き、明治天皇から強力な武器をもらう望と希。第1次試験の時に覚えた裏技であった。

「迷子の表参道人を狩りまくるぞ!」

「これが本当の大量無差別殺人よ!」

 望と希は、原宿と表参道に溢れる、表参道駅クエストの敵、迷子の表参道人を狩りまくる。斬っては経験値を稼ぎ、ピロロロロ~ン! っと、レベル上げまくるのだった。

「よし! これでレベル15だ!」

「思うより、今回はレベルが上げにくいわね。次の駅で狩りをした方が良さそうね。」

 望たちは表参道駅に戻って、次の駅を目指すことにした。

「おかえりなさい! たくましくなって帰ってきましたね!」

「ただいま! 駅娘! ありがとう!」

 望たちは、見た目にも自信が溢れていた。

「でも、気をつけてください! あなた方は既に2時間も使ってしまいましたよ。今回は29時間じゃなくて、19時間しかありませんからね。」

「分かっているよ。時間の概念は。」

 普通のダンジョンモノに時間という概念がおまけされている。普通のゲームみたいに、戦いに行かないで釣りをして暇をつぶすなどは、とてもじゃないができない。

「じゃあな! 駅娘!」

「頑張ってくださいね! 皆さんなら、きっと試験に合格できますよ!」

 望たちは、電車に乗り、次の駅を目指した。


「いらっしゃいませ! 外苑前駅へ!」

「よろしく! 駅娘!」

 望たちは、外苑前駅にたどり着いた。

「皆さんに悲しいお知らせがあります。」

「なに?」

「駅クエストで倒す敵の名称が変わりました。」

「なんだってー!?」

「敵の名前は、迷子の迷子の外苑前人レベル3です!」

「迷子が倍になった!? もしかして!? いきなり敵の強さも2倍になったというのか!?」

 望たちは、一気に敵が強くなったと恐怖を感じる。

「いいえ、ただのインパクト重視です。迷子だと平凡なので、迷子の迷子の子猫ちゃんにしてみました。アハハ。」

 笑って誤魔化す駅娘。

「敵の名前が変わっても、やることは同じ! 狩って! 狩って! 狩りまくるぞ!」

「さあ! 無差別大量殺人の始まりよ! 私の糧になるがいい!」

 望たちは、神宮球場周辺でレベル上げをしまくり、レベル20になるのだった。

 つづく。

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