第7話

 結局二年のインハイ予選は三回戦で負けて終わった。

 でも負けたとこが全国で三位まで行ったとこだから変なすっきり感はあった。

 あそことフルセットまで粘れたのは一つの財産だ。途中まで本気で勝てるって思ってたからちょっと自信がついた。

 吉良君のチームはエース不在の中、県予選の決勝で負けちゃったらしい。

 吉良君は申し訳なさそうだったけど、それよりも先輩に謝られたのがきつかったそうだ。

「お前がいないせいで負けたみたいになってごめんな」

 そう言われたらしい。

 あたしがそんなことを言われたらきっと泣いちゃう。

 でも吉良君は、

「いや、本当にそうっすよ」

 って笑ってたらしい。

『先輩達が引退する前にめちゃくちゃシゴかれた(笑) あいつら見てろよ。来年は絶対に俺が引っ張って全国制覇してやるからな』

 負けちゃったのは悲しいけど、吉良君が元気なのは嬉しい。

 吉良君はすごいな。あたしはまだ自分が引っ張るなんて気持ちにはなれてない。先輩達が引退したらあたしらの世代が一番上なのに。

 まだ春高があるから先輩全員がいなくなるってわけじゃないけど、それでも吉良君みたいに引っ張るぞって気持ちじゃないと来年のインターハイは勝てないと思う。

 よし。あたしも頑張ろう!

 次の日からあたしはやる気満々だった。

 前は先輩がやってたことを率先してするようになった。自分から声を出したり、練習の強度を上げたり、選手だけでミーティングを開いたり、とにかく頑張った。

 同級生も後輩もあと少しで勝てたあの試合が悔しかったみたいで、ついてきてくれた。

 真剣になって思った。

 もしかしたら今までの本気は本当の本気じゃなかったのかもしれないって。

 どっかで頭使って休むことを考えて、やりきれてなかったのかもしれない。

 その差が最後の最後に出たのだとしたら悔しくって、あたしはもっと頑張った。

 頑張れば頑張るほど疲れるけど、その分バレーが上手くなると楽しくなった。

 勝てるとさらに嬉しくて、毎日練習するのが待ち遠しかった。

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