先生が禁断の恋

「蛍斗君おはよー」

「おう、おは…よ…って。え!?」

「おはようけいくん今日も健康でなによりじゃ」

「けいとお兄ちゃん!みてこの石!ハートだよ!」

「蛍斗ーはやくいこー」

 みんな揃ってんのか…これ以上増えないでほしいが…

「行くか」



キーンコーンカーンコーン


昼休みのチャイムだ。


 「綾小路(あやのこうじ)先生?ちょっと家庭室に来てくれますか?」

「あ、はい。北村先生…」



 「蛍斗ーっ!ご飯たーべよっ?」

「蛍斗君今日はハムときゅうりでこんなの作ってみた!食べて?」

「おう!ありがとな!」

「けいくんはこのクラスにいたのか。」

 「…っえ⁉。怜先輩!?なんで?昼休みはいつも剣道の練習してるんじゃ…」

「ああ、でも今日からは違う!今日からはわしの旦那と距離を縮めるために剣道の

 練習は破棄じゃ!」

「っえ⁉いいんですか!?」

「いいともいいとも!けいくんともっといろんなことが出来るなら…」

「あ、はい。あ、忘れてた。今日、家庭科で料理を作るために買ってきて余った食

 材冷蔵庫の中にしまってた…ちょっと取り行ってい来るね?」

「いってらっしゃーい」

「転ぶでないぞ?」

「蛍斗君はやくね?」

「おう」



あ、しまった。家庭科室…空いてないよなぁ、鍵が必要…?あれ?空いてる…


「失礼…します。誰もいない…?のか?」


 「北村先生?これは、セクハラですよ!やめてください!」

 「綾小路先生?私ね?知ってますよ?綾小路先生はまだ未経験なんですよね?」

 「何言ってるんですか!やめてくださいよ!触らないでください!」


…ん?なんだこの声…?俺のクラスの担任の『綾小路彩乃(あやのこうじあやの)』先生の声?


 「綾小路先生、ここで叫んでも誰も来ないですよ?どんなに大きな声を出したと

  しても…ここは防音室なんですから…ね?」

 「助けて…やめて…」


冷蔵庫のある部屋から聞こえるな…行ってみるか。


 冷蔵庫のある部屋とは家庭科室とは違い家庭科で使う料理道具をしまっておく

 部屋のことである。



 「じゃあ最初はキスからね?時間はまだたっぷりあるんだから?」

 「嫌…。やめて…誰か助けて…こんな人にファーストキスなんて死んでも嫌…」


 「北村先生?なにをしてるんですか?綾小路先生が泣いてるじゃないですか」

「お前は…。澪月⁉なんでこんなところにいるんだ。い、いやこれは違う!」

「なにが違うんですか?俺、見てましたよ。綾小路先生にセクハラしてるところ」

「セクハラなどしてない!綾小路先生の肩にゴミが付いていたから取ろうとしただ

 けだ!」

 「うそですね…綾小路先生?こっちに」

 「は、はい。」

「なぜ嘘だと言い切れる!真実だ!」

 「じゃあ逆に問います!なぜ!!肩に付いたゴミを取ろうとしただけなのに!

  綾小路先生は泣いている!!!答えてみろ!ゲス村先生!!!!」


「教師に向かって。その言葉。君の成績はオール1にさせてもらう!」

 「俺の成績なんてどうでもいい!だから綾小路先生に謝れ…

  それで二度と近づくな!!」

 「澪月君、私はいいんです…。」

「いいや!!よくなんかない!」

「一番よくないのは。私の為なんかに成績がオール1になる澪月君だよ…」

「そんなんどうってことない!!俺の成績より!綾小路先生の身体だ!

 綾小路先生は女性なんだから!もっと自分を大切にしてください!!」

「っえ。」

 「北村先生。謝ってください。今すぐに。」

 「謝るものか。所詮、女だ。女風情が。」


――そう言って教頭 北村先生は家庭科室を出て行った――


 「許さないからな。ゲス村…。」

「あの、澪月君…ありがとうございました」

「いえ、俺は全然。それより、北村先生になにもされませんでした?」

 「はい、澪月君のおかげで大丈夫でした!」

「よかった…綾小路先生が無事で何よりです。」

「ありがとう((澪月君っていつも大人しい子だけど、なんかかっこよかったな…

        なんだろこの気持ち。恋しちゃったのかな?でも年下だし。それ

        に生徒だし…これはきっとほかの何かよ))

「はい!!」


 冷蔵庫を開き、余った食材をもって家庭科室の出口へ歩いた。


 「あの、澪月君…」

「はい?」

「さっきのことでお礼がしたいの!だから…」

「お礼なんて全然大丈夫ですよ!当然のことをしただけなんですから…」

「いや、お礼をしないと気が済まないのよ、だから…」

「はい」

「…放課後、この学校の駐車場まで来て!!」

「駐車場…?ですか。わ、わかりました。じゃあこれで」

「待ってるからね…((えええ!私…何言ってるのよ!なんで呼び出したの⁉))」



 「蛍斗ー遅かったじゃなーい」

 「そうかー?」

 「そうじゃ!少し遅かった!何をしていた!」

 「え?別に何も。」

 「本当か?」

 「お、おう。」

 「蛍斗君がそう言ってるんだからそうなんだよ」

「あ、そうだ。今日は俺、みんなと一緒に帰れないわ」

 「えーなんでー?」

 「なんでじゃ!!」

 「どうして?」

「いやー先生に呼び出されてよ…」

「蛍斗…ファイトだよ」

「頑張るのじゃ!!」

「蛍斗君、応援します!」

「なんで!怒られる前提なんだよ!!」



 「起立。礼。さようなら。」


よし、じゃあ、向かうかな…



 「綾小路先生ー?どこですかー?」

「澪月君ここだよー」

「あっ、綾小路先生なんですか?」

「うん、いろいろお礼を考えたんだけど。澪月君に決めてもらおうと思ってね」

 「そうですね…じゃあ、今から俺と遊んでください」

「遊ぶって…?デ、デート!?」

「デートっちゃ、デートなのかな?男と女ふたりだし…」

「だっ、だよねっ!((なんでこんなに嬉しいんだろ))」

「はい」

「じゃあ私の車乗って?」

「綾小路先生、車乗ってるんですか?」

「そうだよ、車で学校来てるの」

「へぇ、」

「この車だよ?」

 「アルファードじゃないですか!!」

「う、うん ごめん後ろ少し散らばってるね、前に乗って?」

「はい」


「ねえ、澪月君…」

「はい?」

 「私の事は彩乃って呼んで?」

「いや、さすがに呼び捨てはできません!せめて先生を付けさてください」

「じゃあ、彩乃先生って」

「わかりました彩乃先生」

 「あと、敬語もなしで?」

「先生に敬語使わないことなんて…」

「じゃあ、こういうプライベートの時は警護禁止で、学校に居る時は敬語で喋って

 っていうのはどう?」

「それなら問題ありません」

「ほらもう敬語禁止だよ?」

「あ、ほんとだ!」


 「彩乃先生…って結構運転上手いんだね」

「え~?なんで~?」

「いや、上手いなぁーって。」

「ありがとう」

「彩乃先生の車って彩乃先生の匂いがするんだね」

「…っ⁉。きゅ、急になによ…((ドキッてしたぁ))」

 「いや、いい匂いだなぁって…」

「そ、そう?ありがとう」

「うん、彩乃先生は一人暮らししてるの?」

「そうだけどなんで?」

 「いや、なんとなく気になっただけー彩乃先生の実家はどこなの?」

 「私の実家は東京よ?」

「彩乃先生の実家、東京なの!?」

「まあ、東京って言っても田舎の方だけど」

「へえ~」

「田舎の方で温泉やってるのよ」

「えええ⁉そうなの⁉じゃあ彩乃先生は時期女将さん!?」

「うーん、どうだろ」


なんて会話をしているうちに街へと着いた

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