第17話 ハイウェイバトル
ブロロロロ!
キュキキキキキ!!!!
ハンドルを右へ左に切って飛ばすエミナ。
運転しながらもエミナは叫ぶ!
「まだついてきてる!? 」
「がっつりな! 」
後ろの荷台に乗って敵を威嚇するマスラが叫ぶ!
どうにか逃げたまでは良いが、敵は車で追いかけてきたのだ。
ドンドンドンドン!
敵の機人が放った銃弾がアスファルトに当たって火花を散らす!
ハイウェイには数台の車が走っていたが、異様な雰囲気に勘づいて距離を取り始めている。
こう言った荒事も日常茶飯事な世界なので割と冷静なのだ。
敵はピンクのピックアップトラックに乗っており、機人を荷台に乗せて車の天井部分から魔人が顔をのぞかせて機会を伺っている。
(向こうの方が馬力あるな! )
一向に距離を離せないことに苛立ちを感じるマスラ。
すると、運転席のトルパスから声が上がる。
「もうすぐトンネルだよ! 」
言われて振り向くマスラ。
トンネルが目の前にまで迫ってきており、そのまま入っていく。
(まずい! )
トンネルの内部は幅が狭くて運転が単調になりがちである。
当然ながら敵もそこを逃さない!
ブロロロロ!
急にスピードを上げるピンクのピックアップトラック。
当然ながらぐんぐん距離が縮まっていく!
「もっとアクセル全開! 」
「これ以上踏めないわよ! 」
エミナの頑張りも甲斐なく、簡単に追いついてしまった。
ガシャン!
跳び上がった機人が難なくマスラのトラックの荷台に乗った。
チャキン
マスラも刀を取り出して呼吸を整える。
コォォォォォォ!!
刀に気がまとわりついて強度を上げる。
それと同時に機人が左腕から刃を出して襲い掛かった!
ガキィン!
マスラの気功剣と機人の刃が当たって火花を散らす!
本来なら機人の腕力に人間はまともに対抗出来ないのだが、気功術によって補っている。
何とか機人の攻撃を受け止めるマスラだが、その後も機人は刃で攻撃を仕掛ける!
ガキィン! ドガッ! ガシッ!
ただ、刃を振るうだけでなく、ケリやパンチも打ってくる機人。
機械音を鳴らしながら、強力な攻撃を繰り出すが、マスラも気功術で対抗する!
ガシッ! ガンッ! ゴッ!
蹴りやパンチを剣と同じように拳や足にまとわせて上手くいなすマスラ。
ドガッ! ガシッ ガッ! ゴガンッ!
攻守を何度も変えて荷台で打ち合う二人。
その時だった!
ズルッ!
「おわっ! 」
足を滑らせて転んでしまうマスラ。
すぐに起き上がろうとするが中腰の状態でピタリと止まるマスラ。
機人の刃がマスラの首元に当てられた!
「安心してください。命までは取りませんよ? 」
無機質な声で機人は静かに言うが、悔しそうにマスラは睨み付けるだけ。
すると、今度はエミナが叫んだ!
「このぉ! 」
グオンッ!
ハンドルを急に切って荷台に揺さぶりをかけるオル。
すると、機人の体が大きく揺らいだ!
「うぉっ! 」
「ナイスッ! 」
代わりに中腰になっていたマスラはその勢いで立ち上がる!
「くそっ! 」
慌てて姿勢を元に戻そうとする機人に足払いを掛けるマスラ。
ふわっ
機人の体が中空に浮かび上がった!
「安心しな。命までは取らねぇよ! 」
ドンッ!
中空に浮いた機人をそのまま自身の背中で押し上げて吹っ飛ばすマスラ。
俗にいう鉄山〇と呼ばれる背中で攻撃する技である。
宙に浮いた機人はそのままピンクのピックアップトラックに戻り・・・
ドンガラガッシャン!
ピックアップトラックを大幅に揺らす。
そのせいでトラックは大幅に傾いて斜めになってしまう!
「そのままこけろぉぉぉぉ!!! 」
マスラが大声で叫ぶ!
トラックはそのままゆらゆらと揺れて……
ドンッ
元通りの態勢に戻る。
「くそっ! 」
舌打ちするマスラ。
「どうすんのよ! 」
やけ糞気味のエミナの声が響き渡る!
「やっぱり、僕が糸攻撃で……」
「止めとけ。下手するとお前が道路に激突するぞ! 」
トルパスが攻撃しようとするがマスラが止める。
トルパスもカーチェイスという状況だと糸の攻撃も使いにくい。
スパイダ〇マンのように自在に糸が出せるわけでは無いので、場合によってはその辺の木に絡まって転落してしまうのだ。
(どうする? )
必死で考えるマスラだが、そんなマスラ達に今度は魔人が魔法を使おうとしている。
魔人の手には緑色の風の魔法が生み出されている。
(まずい! )
どうやらタイヤを狙っているようだ。
荷台の上からではタイヤへの攻撃は防ぎにくい。
「エミナ! トルパス! 衝撃に備えろ! 」
パンクによるクラッシュに備えるマスラ。
その時だった!
シュパンッ
魔人の持っていた風の魔法が何かに切られて霧散する。
(……えっ? )
一瞬、何が起きたかはわからなかったが、ピンクのピックアップトラックの横についたバイクを見つけた。
大型のどっしりとしたチョッパースタイルのオートバイで、乗っているのは6本腕の白髪のおじいさんだった。
下の腕はがっちりハンドルを握ったまま、上の4本腕で槍を持っていた。
「道路は走る場所で遊ぶ場所じゃないぜ? 」
ボパァン!
ピンクのピックアップトラックのタイヤが槍の一撃で破裂してなすすべもなくクラッシュする!
「オットー爺さん! 」
マスラが嬉しそうに叫ぶ!
先日、バサシユニコーンを高値で引き取ってくれたオットー爺さんだった。
オットー爺さんがにやりと笑って答えた。
「随分とめんどくせぇ連中とやり合ってるじゃねぇか? なんかヤバい仕事でも請け負ったのか? 」
「そんなにヤバくないはずなんだがなぁ……」
荷台で苦笑するマスラ。
だが、オットーは笑って言った。
「とりあえず、次のインターで降りるぞ。あいつらの目を眩ましてから説明を聞く。ついてこい」
「お願いします! 」
そう言ってオットー爺さんの先導するバイクについて行った。
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