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「類、丸太様のシャンプーお願いします」
「はい。丸太様こちらへ」
私の行動を三上は鏡越しに見ている。小島のブローを終えた三上は、ブティックで小島の洋服を選んでいる。
爽やかなブルーのシャツワンピ。襟は黒。バックもパンプスも黒を合わせる。
黒を合わせることで、OLの小島にピッタリの大人な雰囲気に変わる。
「小島様素敵ですよ」
「三上さん、ずっと日本に?」
小島の質問には笑顔で応え、レジで清算を済ませた小島を見送る。
「ありがとうございました」
小島を見送った三上は、優しい眼差しで私の様子を見ていたが、誰の指示を受けるわけでもなく、キッチンに入りお客様のドリンクを用意し、然り気無くサービスをした。
数ヶ月離れていたが、阿吽の呼吸でみんなのヘルプをこなす。
流石だな……。
◇
午後八時過ぎ、最後のお客様を全員でお見送りする。
「ありがとうございました」
お客様を見送ったあと、全員の視線が三上に向けられた。
「波瑠、今日はありがとう。礼を言うよ。類、予約はちゃんと確認して入れろ。気の緩みが、大きなトラブルになるんだぞ」
「すみませんでした」
「鳴海店長、類の失敗よりも、みんな聞きたいことがあるでしょう」
捺希の言葉に、鳴海店長は私から三上に視線を移した。
「波瑠、一時帰国していることは聞いていたが、どうしたんだ? RUSHIANAニューヨーク店の店長がbeautiful magicで接客しては問題視されるだろう。トラブルになりかねない事案だ」
「鳴海店長、申し訳ありません。これ、人事部からです」
三上は鳴海店長に一枚の用紙を差し出す。
鳴海店長は用紙を広げマジマジと見つめ、三上に視線を戻した。
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