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◇
翌日、beautiful line主催、ヘアメイク&ファッションショー。
私は黒いビキニの上に赤いガウンを着用する。
「Aカップにサイズ変更したからピッタリでしょう? さすがにプカプカってことはナイよね?」
「捺希さんっ!」
諸星はクスリと笑った。
「その調子、その調子。少しは気が楽になった?」
諸星は私の気持ちを和ませるために、わざとからかっているんだ。
「ありがとうございます。少し落ち着きました」
ステージではすでにショーは始まっている。香坂は前年グランプリを受賞したから、エントリーは最後のステージ。
ステージでは前年度準グランプリのbeautiful heartと、特別賞のbeautiful cherry の三店舗が競い合う。
beautiful heartやbeautiful cherryのモデルが誰なのか他店は知らされていない。
自分の貧相な体と地味な顔のパーツがスポットライトに曝されるのかと思うと嫌気がさす。
「きっと類が一番イケてるよ」
香坂が私の素顔を見て頬を緩ませた。
「本当にそう思ってます?」
「思ってるよ、素材が地味だから、インパクトある変身が期待出来る」
やっぱりね、香坂はそういう性格だよ。
「beautiful magicの皆さんスタンバイお願いします」
「はい」
ガチガチの私、ガウンの裾を踏みそうだ。
「類、右手と右足を同時に出すんじゃない。お前、本当にウォーキング出来るのか?」
「だ、だ、大丈夫です」
ていうか、全然大丈夫じゃないよ。
今すぐ、帰りたいー……。
他店の演出が終わり、水着姿のグラマーな美女がステージ裏を歩く。ゆさゆさと揺れる胸に、同性でも目を奪われる。
水着から、第二ステージ用の衣装チェンジを、ステージ裏でしている美女もいる。他人の視線なんて、気にしている余裕なんてない。
「うわ、巨乳だな。類の三倍、いや五倍?」
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