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「零士、昨日どうして電話に出てくれなかったの?」
「申し訳ありません。仕事中なので。ご予約なら類に申し付け下さい。類、吉沢様をお見送りして」
鳴海店長は吉沢に背を向けた。元恋人である吉沢カンナの掲載された雑誌を大切にとっている鳴海店長。本当は彼女のことを今でも想っているはずだ。
それなのに、こんなにも冷たい態度。
どうしてなんだろう。
「類、お見送りして」
「は、はい。吉沢様こちらへ」
「零士は私が他の男性と付き合っても平気なのね」
鳴海店長は振り返ることもしない。吉沢は私の腕を掴むと鳴海店長の目の前に立った。
「だったら、この子と付き合うから」
「吉沢様、スキャンダルになることはお止め下さい」
吉沢はいきなり私の唇にキスをした。
え、え、え、なんでぇ!?
柔らかな唇……。
甘い香水に包まれて、キスも甘く感じる。
うわ、陶酔してる場合じゃない。
私は女だ。どうして初対面の女性に唇を奪われないといけないのよ。
このキスは鳴海店長への当て付け?
吉沢カンナも鳴海店長がまだ好きなんだ。
「吉沢様、ここは店内です。当店のスタッフとそのようなことは、ご遠慮下さい」
鳴海店長はそのまま川坂の元に行き、手を差し出した。
「川坂様、大変お待たせ致しました。どうぞこちらへ」
吉沢は私を突飛ばし、目に涙をためbeautiful magicを飛び出す。
女性にキスをされた私は、ヘナヘナと床にへたり込んだ。
なんでこうなるのよ!?
香坂が私の元に歩みより、手を差し出し耳元で囁いた。
「今日も、俺達の勝ちだな」
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