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「ついでにグラビアアイドルみたいにポーズとれば?」


 香坂蓮!


 この場でソレを言うのか。

 爆弾放り込まないで。


「ナチュラルメイクでこれだけ化粧映えするんだから。類でなんとかイケるんじゃない?」


 三上の言葉に三人が、ウンウンと頷いた。


 類でなんとかって。


 類で、の『で』が引っ掛かるな。


「蓮、サポートに誰つける?」


「そうだな」


 香坂は三人の顔を見て、シラッと言葉を吐いた。


「裸を見られても恥ずかしくないのは諸星だろ?」


 意味深な言い方、絶対にさっきのことを言ってるんだ。


「わ、私と捺希さんは変な関係ではありません。誤解しないで下さい」


「変な関係って、誰も言ってねぇよ。お前何焦ってんの?」


「たった数日で、もう捺希と親密なのか?」


「ひええ……。や、やめて下さい」


「捺希と類が?」


 鳴海店長が眉をつり上げた。三上だけは知らん顔で珈琲を飲んでいる。


「もし僕が類と付き合ったら、みんなどう思う?」


「大人なんだからスタッフ同士が付き合っても関係ないよ。ただシェアハウスで類のあの声は聞きたくないけどね」


「あのあのあの……声?」


 ダメだ……。


 気絶しそう。


 何で会話が全部下ネタなのよ。

 美男なのにみんな中身はケダモノじゃない。


「波瑠の言う通りだ。恋愛は禁止しないが、男女問わず店内での行為は禁じる」


 だったら、あの金髪はなに?

 シェアハウスは解禁なの?


「わかってますよ。鳴海店長、僕がするはずはないって、わかってるでしょう」


 諸星はそう言うと、大きな瞳を私に向けた。

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