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「でも、あれはまずかったかも」


「あれ? 不味い料理ありましたか?」


「『エロ雑誌抱えて妄想してる』ってところ」


「うわ、わ、私そんなことを。でも、リビングに雑誌が……」


「あれは蓮さんの雑誌じゃないよ」


「えっ違うの?」


「それに女性の裸体を見たくて買ったものでもないし、そもそも水着のグラビアは多いけどエロ雑誌じゃないし」


「どういうことですか?」


「グラビアモデル、カンナって知ってる?」


「はい。知ってます」


 カンナはハーフで、美しい金髪に瞳はブラウン、均整のとれたプロポーションで世の男を魅了し、もの応じしない喋り口調で人気急上昇中のグラビアモデルだ。


「カンナは鳴海店長の元恋人なんだ。デビュー前からbeautiful magicのお客様で、鳴海店長と付き合っていた。デビューすることになり別れたんだけど。鳴海店長はカンナのことが今でも好きなんだよ。だからカンナの掲載されている雑誌を買い漁り、捨てることができない」


 あの雑誌が……

 鳴海店長の……お宝!?


「捺希さんどうしよう」


「謝りに行くのもおかしいし、酔った上での暴言、忘れた振りしてれば?」


「それで大丈夫でしょうか?」


「鳴海店長は意外と根に持つタイプだからね。だけど記憶を無くしたものの勝ち。昨日の夜みたいにね」


 諸星は私を背後から、抱き締めた。思わず声を上げそうになったが、男性なのにほんのり甘い匂いがした。


 思わずチラッと上目遣いで見上げる。


「何か言いたそうだね」


「えっと……私昨日酔っ払ってて……」


「類は可愛いね。僕と類のこと聞きたいの?」


 諸星は私の髪を背後から撫でる。首筋に触れられ体がビクッと跳びはねた。

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