いっしょに遊ぼう

作者 大澤めぐみ

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★★★ Excellent!!!

 ホラーには大きく分けて2つの種類があるのだと思います。1つは幽霊を代表格とする超常的な存在をメインに据えた物語、そしてもう1つは、人の怖さ・分からなさを恐怖のメインに据えた物語です。

 本作の場合は、この2つの配分を人の怖さ・分からなさにやや傾斜させつつ、ブレンドした作品とするのが穏当な見解なのかも知れません。或いは、逃げを打って「奇妙な味」とするのもありでしょう。

 知的障害を持つ主人公が、幽霊が出ると言われる廃屋でヤクザの鉄砲玉の桐生を見つける事から物語はスタートしますが、主人公の設定の仕方がまず上手いと思います。主人公を知的障害者にする事によって、最後に彼女を非日常から日常へと何の問題もなく回帰させる事が可能となっていると共に、読者に置いてけぼりを食わせ、異様な読後感を味あわせる事が出来ているという点は、「奇妙な味」とされる物語群の多くに共通する物とも言えそうです。ただ、本作の主人公は構成上の駒としてだけ存在しているのではなく、彼女自身のキャラクターや彼女がよって立っている「日常」がある程度、適度に作り込まれている点も同時に注目すべきなのも知れません。少なくとも、それによって物語に深みは出ている筈です。

 物語全体を支配する雰囲気は、福澤鐵三のヤクザ小説と平山夢明のホラー小説を混ぜ合わせた様な物と言えば良いでしょうか。幽霊自体は出て来ますが、やはり登場人物達の雰囲気が異様な「場」を形成していると考えるべきかなとは思います。主人公が生きる「日常」それ自体が中々にダークな気もするので、そこに読者がある種の違和感を覚えれば、この物語は「勝った」という事になるのかも知れません。主人公は「日常」へ回帰しますが、読者は最後まで「非日常」に置き去りにされてしまうのですから。

 ありがとうございました。