第169話 人生終了のお知らせ

翌日の朝は、真昼たちが俺の部屋に来ることはなかった。まあ、白雪さんの部屋に泊まるって言ってたから当然か。


久しぶりに一人での登校。中学生のボッチだった頃を思い出すなあ……。


部屋を出ても誰もいない。なんだか少し寂しく思ってしまった。


一人でエレベーターに乗り、降りる。


そして、ロビーを通る時、いつもとは違うことがあった。なぜか白雪さんが立っていた。


「お、おはようございます……」


「お、おはよ……」


なんだこの空気?!


てか、白雪さんがこのマンションに居るの、初めて見たかも!


でも、何してるの?ただ棒立ち。リュックは背負ってるのに、なんで学校で行ってないんだ?!


も、もしかして……俺と一緒に行きたいってことか?!


俺がしょうもない妄想を始めたところで、白雪さんが鞄から何やら文庫本のようなものを取り出す。


「あの……、これ、昨日私の部屋に置いて行ってて……」


あ、そうですよねー…。そんなわけないですよねー…。ってか待てよ!昨日、途中まで読んでた奴って、結構エロい系のラノベじゃなかったっけ?!異世界に転生して、やりまくるって話じゃなかったっけ?!口絵から結構やばい絵だった気が……。 


「こ、これ、お返ししますね……」


なんだろう。この反応的に絶対見た……よね?


ああああああああああああああ!!!!!!!!!


絶対変態だと思われた!!!最悪だ……。


「あ、ありがとうございます」


俺は受け取り、白雪さんに見えないようにブックカバーを取ると、やっぱり予想通りのやつだった。


はい、俺の人生しゅーりょーしましたー。


「せっかくですし、一緒に学校に行きますか?」


「そ、そうですね。行きましょうか」


こうして、一緒に登校することになった俺たち。


ああ……。これ、絶対に気遣われてるよなあ……。


若干俺と距離ある気もするし……。





ああ……、緊張したー。私にできた初めての友達。


話しかけるの、とっても緊張したー。


でも、森木くんが本を忘れて行ってくれてよかった。これで、話しかけるお題ができて良かった。


でも、やっぱり森木くんって優しいよね。


私が本を返しただけなのに、とっても嬉しそうに「ありがとう」って言ってくれたし。


ちょっとお話ししたいだけで話しかけたけど、嫌な顔一つせずにしてくれたし。本当に優しいなー。


森木くんには嫌われたくないなー。


初めてできた友達なんだから、大切にしないとね。


でも、やっぱり緊張して、隣には歩けないよなー。


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