第168話 提案

俺は白雪さんの話を聞いて、方針を決めた。


「それなら、お話があります」


「はい?」


「白雪さんがなるべく睡眠時間を確保できるようにする対策です」


「はい……?」


そんなのができるわけないだろと言いたそうな顔でこっちを見る白雪さん。


しかし、問題ない。これは俺たちに、いいや、俺たちだからこそできる対策なのだ!


「まず、さっきも言ったけど、俺はこの部屋の上、402号室に住んでるんだ。ちなみに、401号室には宮下真昼、403号室には一ノ瀬来未も住んでるんだ」


「え?森木さんだけでなく、他にも住んでるんですか?」


俺は頷く。


「うん。それで、俺たちはいつも晩ご飯、休日はお昼も一緒に食べてるんだ。一緒に食べるってことはご飯を作るのは3日に一回でさ。残りの2日は作らなくていいんだ」


「はい。でも、私は夕食の時ほとんどがバイトなんですが?」


「はい、分かってます。白雪さんが朝早くに起きるのって、あいちゃんの晩ご飯まで使ってるからなんですよね?」


「はい、火曜日と木曜日以外はそうしています」


「それなら大丈夫です。それなら、これからはあいちゃんの晩ご飯は作らなくても大丈夫ですよ。俺たちがあいちゃんの晩ご飯も用意しますから」


「え?でも、それではただ私が楽しているだけの様な気がするのですが」


それもそうだろう。白雪さんからすれば、ただ自分が楽しているだけだと思っているだろう。


「いや、それは違います。もちろん食費は4人で割り勘。それで、火曜日と木曜日のどちらかは白雪さんが料理をする。白雪さんはもう少し長く寝ることができる。俺たちは1日料理しないでいい日が増える。それに、どうせご飯食べるなら一緒の方が楽しいじゃないですか。どうですか、これなら、そこまで誰かが特別メリットってわけではないと思いますけど」


真昼たちには言ってないけど、まあ、大丈夫だろ。


白雪さんは少し悩んだ結果、


「はい、それで皆さんがいいと言うなら私は」


「ありがとうございます。それと、あと一つだけ聞きたいんですけどいいですか?」


そう、あと一つだけ俺にできることがあるかもしれない。


白雪さんが頷いたので、俺は聞いた。


「白雪さんって買い物に行ってるスーパーってここから一番近いスーパーですよね?」


「はい」


「じゃあ、予定表に書いてた買い物が2時間の理由って聞いてもいいですか?もしかして、1日で済ますために二回行ってるとか?」


白雪さんはゆっくり頷く。


「やっぱりか……。それなら、俺がその買い物手伝いますよ。それでも足りなかったら真昼とかにも手伝って貰えばいいだけだし」


「え?いいんですか?それこそ森木さんたちにメリットがないんじゃ……?」


「メリットとかいいんですよ。それに、俺たちも買い物に行くし、そのついでだと思えば全くメリットなんて関係ないですよ」


「そ、そうですか……?それなら、お願いしたいです」


「はい。わかりました。じゃあ、話は終わり。白雪さんも元気になったみたいだし、俺は帰りますね」


「は、はい……。本当にありがとうございました」


「どういたしまして。それじゃあこれからもよろしくね」


「はい、よろしくお願いします」


俺たちの夜はまたにぎやかになることだろう。

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