第163話 え?ここに泊まるの?!
ご飯を食べ終えた後、少し遊び、8時ごろになった。
あいちゃんの話を聞いている限り、あいちゃんはいつも9時頃に寝ていることがわかる。
それなら、そろそろ風呂に入る頃だろう。
「それじゃあ、そろそろ俺は帰ろうかな」
「え……?」
悲しそうに、今にでも泣きそうな顔で見つめられる。や、やめてくれええ!
「あいちゃんもそろそろ寝る時間でしょ?」
「で、でも……」
「またいつでも遊べるよ。俺の家ここの上だからさ」
「で、でも、お姉ちゃんがしんどそうなのに、どうしたらいいのかあいにはわからないよ……」
見詰められる……。俺はどうすればいいんだよ?!
「でも、どうしたらいい?俺だって寝なくちゃいけないよ?」
「だ、だったらここに泊まっていけばいい」
「…………」
いや、流石にまずいよね?ここの親的存在の白雪さんに何も言わずにここに泊まるって普通にやばいよね?
普通に考えて好きな人以外家に止めさせるはずがない。
白雪さんは、俺のことが嫌いだとは思っていないだろうが、好きだとは思っていないはずだ。単なる知り合い程度だろう。
なら、普通に考えてやばいよな?
「……でもね……」
ダメだよ、と言おうとした。
「お、お願い……」
「……わかった」
あいちゃんに負けてしまった。
小学二年生に、いや、小学二年生の可愛い子だったから負けてしまったのだろう。
こうして、今はパジャマや、翌日の学校の準備を取りに自宅に戻っていた。
しかし、玄関を開けると、電気が付いていた。
「まだいたのか?」
俺が聞くと、真昼はしっかりとこっちを見て言った。
「うん。また京くんが変なこと考えてると思ったから」
「げっ……」
「あ!今『げっ』って言った!また何か変なことしようとしてるよ、くるちゃん!」
「うん、そうだねー」
一ノ瀬はずっとこんな愚痴を聞かされていたのかもしれない。なんか疲れてる。すいません……。
「いや、ちょっと1日だけ友達の家に泊まりに行くことになってさ」
「白雪さんでしょ?!」 「白雪さんだね」
え?なんでわかったんだ?!エスパーか?!
てか、そりゃそうか。今日白雪さんと帰るってことは知ってただろうし。
「まあ、そうだけど。これにはちょっと事情がありまして……。その件でちょっと改めて話したいこともあるから。今日はひとまず……」
「ひとまず……じゃないよ!女子の家に行こうとしてるんだよね?そんなの素直に『オッケー』っていうわけないじゃん」
「で、ですよねー……」
「で、事情ってなんなの?」
真昼が真剣に言う。
俺は諦めて素直に話すことにした。
白雪さんがこの下の302号室に住んでいること。
今体調が悪くて、あいちゃんに居てくれと言われたこと。
「そっか、それなら、私たちが行くのもおかしな話だね。妹さんが知ってるのは京くんだけなんだから」
「白雪さんに変なことしちゃダメだよ」
こうして許しを得たわけなのだが。
俺は翌日の学校の準備、そしてパジャマとラノベを2冊持って部屋から出た。
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