第118話 テスト開始
登校中も4人で問題を出し合った。
これを見る限り、バカ2人の赤点はほぼないと言っていいだろう。
それに、周りからの殺意にもようやく少しずつ慣れてきた。
以前では震えまくっていたのに、今ではなんとも感じなくなっていた。普通の視線と殺意の籠もった視線の区別が逆につかなくなってきたかも。
学校に着き、席につく。すると郷田がやってくる。
「どんな感じだ?テストは完璧か?まあ、美女たちと一緒に勉強したんだからそりゃあいいよな?!」
「なんでそんな怒ってんだよ?」
「はあ?!怒ってねえし!ちょっと羨ましいなって思っただけだし!」
いや、完全に怒ってんじゃねえか!とツッコミそうになったが止めた。これ以上意味のない口喧嘩をする意味がない。
「はいはい。でも、中間の時よりかは少しは勉強したと思うぞ。少しは自信ある」
これは本心だ。中間テストの時なんて提出物を一回解いた(答えを横に置きながら)ぐらいだ。
だから、今回はかなり勉強したと言っていい気がする。
「じゃあ5教科の合計、勝負しようぜ!負けたら相手に何か命令できるってことで」
なんか、このテスト期間だけでこんな勝負を何度聞いたことか。
でも、さすがに郷田は一ノ瀬みたいに賢いなんてことはないだろう。見た感じなら頭になにも入ってなさそうだし。
「いいぜ、のった。郷田には負ける気しないし」
「ふふふ、バカだな京。もう決まったから言うが、俺は前回のテストで学年32位だからな」
「は?冗談はいいって。本当のこと言ってみ?」
絶対に冗談だと思っていた。
「いや、本当だから。まあ、テストの結果発表が楽しみだな。美女たちと勉強してたやつに負けれるかっての」
なんか今になってから思ってたのだが、こいつずっとバカなやつアピールしてたのか?だって俺の前ではほとんど勉強していない。
くそっ、やられた。
数学だけ勝負している一ノ瀬にはおそらく勝てるだろうが、こいつは違う。さすがに5教科勝負で勝てる自信はない。
「はーい、そろそろ席につけよー」
監督の先生からそんなことを言われた。
「まあ、せいぜい足掻きたまえ」
そう言って郷田は自分の席に戻って行った。
それにしても今回のテスト。どうしても自分のことよりもあの2人のことがかなり気になってしまう。
まあ、ここまでやった以上、俺にできることはもう何もない。できると言っても、心の中で応援するぐらいかな。
「はじめ!」
チャイムが鳴ったのと同時に先生が言い、テストが始まった。
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