第111話 慌ただしい朝
”じりりりりりり”
脳内にいつもの目覚ましの音が流れる。
俺は手を伸ばしてスマホを取り、音を止める。
それにしても……、俺は夜中の間、一ノ瀬に何もしていないだろうか。寝ている間とはいえ、無意識に胸を触っていたとしよう。もし、それを一ノ瀬が認識していたら俺は犯罪者だ。
でも、同じベッドで寝ていただけにありえないとは言えない。
今は両手に触れてはいけないものを触っている感覚はない。右手にスマホだけだ。
よし、まぁ、ひとまずオッケーかな。
「来未、朝だぞ、起きろよー」
あれ?返答がない。どう言うことだ?
俺は寝返りを打つように一ノ瀬の方を見る。
しかし、そこに一ノ瀬の姿はなかった。
え!これってもしかして、寝ている間に俺が一ノ瀬に何かしてしまって、それに怒ってこの部屋を出たみたいなかんじ?え、普通にやばくない?!
俺は慌ててベッドから飛び降り、部屋を出る。
まずは……、あの2人だな。あの2人に知らせないと。
ドアを開けようとして止まった。
危ない危ない。これは開けると2人が裸で、俺が犯罪者になってしまうパターンのやつだ。俺は扉をノックする。
しかし、返事はない。
「おーい、まひるー、あーちゃん!起きてるか?」
しかし、返事はない。
どうしてだ?!部屋の明かりがついていることはドアの隙間からわかる。だから、部屋の中にいるはずだ。わからない。今この部屋がどういった状況なのかが全くわからない。
「入るぞ!」
俺はしっかりと一声かけてからドアを開けた。
え?これは一体どういう状況なのでしょうか?
まず状況を説明すると、一ノ瀬を含め3人の女子がいたるところで死んだように寝ている。
え、なんで一ノ瀬もいるの?それに、なんで誰もベッド使ってないの?
ダメだ。理解が全然追いつかない。
ひとまず学校もあるし、こいつらを起こさないとな。
「おーい、起きろー。もう朝だぞー」
声をかけるだけでは起きなかったので、肩を揺らす。いや、これは起こすためだからな。決して女の子に触れたいとかそんなんじゃないからな。
「あ……あ……お、おはよ京くん。どうしたの?」
「いや、もう朝だぞ。ひとまず朝食は俺が作るから、真昼はこいつらを起こしてくれ」
「わ、わかった」
俺は真昼が起きるのを確認した後、部屋を出て、リビングに向かう。
どうせここにいたら、「着替えするからどっかいけ」って言われそうだし。
冷蔵庫を開ける。見ると、すごいという言葉しか出てこない。きれいに何から何までしっかりと整理されている。さすがは一人暮らしのプロだな。
そこから適当に取り出し、料理を作る。
そして、できたのとほぼ同時に3人が降りてくる。
そして、ちゃんと朝食を食べて、学校に向かうのだった。
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