第104話 言い合い
最悪の方向に進んでしまった。
流石にないとは思っていたのだが、真昼が村瀬にやや怒り口調で話しかけた。
「村瀬さん、勝手に京くんに絡まないでくれる」
おいー!言っちゃったよ真昼さん。全然後のこと考えてねーじゃん。
この後どうすんの?俺、殺されるかもしれないよ?
ってか、この空気に気づいて逃げた郷田。あいつ天才じゃねーか。ってか、親友がピンチなんだから助けろよ!
「どうして、私がけーちゃんと話す度に宮下さんに許可を得ないといけないわけ?なに、宮下さんはけーちゃんと付き合ってでもいるわけ?」
「い、今はまだ違うけど……」
真昼は恥ずかしいのか小さく呟く。
「えっ?!なんて?!」
それにギャルらしい口調で聞き返す。
「い、今はまだ違うけど!近いうちにはそのつもりだもん!」
おーい……。やっちゃったよ。これで、真昼が俺のことが好きだということがクラス中のみんなに聞こえる。
お前はバカか……。張り合うなよ……。そんな大声で言わなくてもいいだろ普通。
「なによ!けーちゃんと付き合うのは私なんだから。まだけーちゃんは私のことを好きじゃないけど、絶対に好きって言わせてやるんだから!」
もう完全にバレてしまった。こいつら隠す気0だもん。
そして、クラス中では早速ぶつぶつと騒いでいる。
「えっ、あいつインキャのくせして二股かよ」「いや、それもだけどかなりの美人2人だぞ。あいつ、なにしたんだ?金払ったのか?」などだ。
もうツッコむのも面倒だけど言わせてほしい。
まず、大前提、俺からはなにもしていない。全て向こうからのアプローチなんです。それと、俺は人から好きと言わせるだけの金は持ってない。
ほんと、クラスからの好感度がマイナス方向にどんどん進んじゃってるよ。
「ひとまずお前ら落ち着け。こんなところでそんな話はするな。みんなが聞いてるだろ」
俺が2人の間に入って注意すると、2人は「ごめん……」とおとなしくなった。
俺はちゃんとしたことをした。なのに、「なんだ、あの2人は森木の奴隷にされたのか?」「あの2人が可愛いそう」と新たに聞こえる。
なんでだよおおおおお!!!!!俺全然間違った事してねーじゃねーかああああああ!!!!!ほんとこの世は理不尽だ。
「ねぇけーちゃん、今日私の家に泊まる?」
「はあ?!なんでそんな話になるのよ?!京くんは1週間私たちのご飯当番なんだから!」
落ち着いたと思ったら、村瀬の一言からまた始まった。もう無理だ。
「ひとまずこの話は終わり!今日の放課後一回話し合おう。それまでは言い合い禁止。オーケー?」
俺は半強制的に言う。それに2人は「お、おーけー……」と返事をする。
これから俺は落ち着いた学校生活を送れるだろうか。少なくともこれから数日間は命を狙われるかもしれないな。
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