第98話 一通のライン

夕食中も特に告白されたことについては話さなかったものの、明らかに真昼が俺の方を見てくる。


村瀬みたいにウザ絡みをしてくるというわけではないが、なんかちらちら見てくる。


結構照れてしまう。そんな俺を見て、一ノ瀬は何やら笑みを浮かべている。


なんでお前がニヤニヤしてんだよ?!とも考えたが、真昼が告白してくる前、何やら話していたので一ノ瀬も何か関係していたのだろう。


なんか恥ずかしいじゃねぇか。


告白されたの他人に知られるのってこんな気持ちなんだな。


一ノ瀬だからいいものの、バレたのが郷田だったらどうだっただろう。応援してくれるかもしれないけど、羨ましいって思いっきり殴られそう。考えるだけで身震いするわ。



そして今、一ノ瀬は早々と俺の部屋を出て行ったのだが……、真昼は全く出て行く気配すら見せない。


真昼の言い分としては、今日俺と一緒に寝るらしい。



こうなってしまった経緯を話していきましょうか。


俺が夕食の洗い物をしている時に時間は起こった。


俺はスマホを机の上に置いていた。画面を上にして。


俺は気付いていなかったのだが、その時にラインが来ていたらしい。村瀬から……。


洗い物が終わり、俺は真昼たちの元へ行くと、真昼は正座をしている。その横で一ノ瀬はニヤニヤしている。


「京くん、まずここに座ろっか」


今までの真昼ではなくちょっと真面目な顔をした真昼が言う。なんか嫌な予感がするんですけど……。俺は言われた通りに座る。


「京くん?昨日、村瀬さんと一緒に寝たの?」


「えっ?」


どういうことだ?バレたのか?真昼の手には俺のスマホが。何故だかは分からないが、おそらくバレているんだろう。ここで変に嘘をついていい方向に進む可能性はほぼ0だな。


「ま、まぁ、そうなんだけど。で、でも、あれは事故というかなんというか……」


俺間違ってないよね?あれは正真正銘事故だよね?


「事故ってどういうことかな?詳しく説明してもらおうかな?」


俺は嘘なしで話した。


俺は最初村瀬のベッドで1人で寝ていたこと。


あくまで予想でしかないが、村瀬がトイレの帰りに間違えて自分の部屋のベッドに入ってしまったことを。


俺はしっかりと話した。これなら流石に殺されるってことはないだろう。そして、その判決は……、


「なるほど……。それじゃあ、今日私と一緒に寝よう!」


「なんでだよ!」



こう言った経緯で、何度言っても出て行く気配を見せないのだ。もう言い出してから1時間以上経った。


仕方ないか。これ以上伸ばしても折れる気なさそうだし。


俺は真昼に「わかった」と伝えると、真昼は喜んで「それじゃあお風呂とか入ったらまたくるねー」と言って部屋から出て行った。


今思ったが、やっぱり合鍵なんて作らなかった方が良かったのかも。

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