第69話 放課後

放課後になり、みんなが帰る中俺は教室に残っていた。


村瀬たちとの約束があるからだ。


村瀬も一度教室を出たので、もしかして俺を1人にして楽しんでるのか?!とも思ったが、今日はそんなことはないだろう。


なんせ、昨日あんなところを見られたのだから。


「お、いた。森木っちいくよー」


村瀬たちレインボーギャルズは俺の教師に来ていた。


「も、もりきっち?」


「うん。森木くんってのもなんか変だし、今日から君は森木っちだ」


なんだそのス○ィッチみたいなあだ名は。バカにされてる気しかしない。


しかし、一応向こうはギャルだ。機嫌を損ねてはいけない。渋々受け入れるしか無かった。


「わ、わかりました」


俺はレインボーギャルズの後ろを歩いていく。


「そんなに怖がらなくてもいいのに。はい!横に歩く!」


何故なんだろう……。何故女子というものは横並びに歩きたいのだろうか。そんな彼氏でもないやつを隣に歩かせてもなんのメリットもないのに。


俺は「はい」と返事して5人の隣に歩こうとした。


なのに何故か真ん中に入れられた。


何故俺を真ん中に入れるんだ!端っこでいいじゃないか!


俺たちが歩いていると、廊下で先生に会った。たしか、生徒指導の先生だったかな。


「おいお前たち!何をしているんだ!カツアゲか?!いじめてたりしてるなら指導対象だぞ!」


ナイス先生!これなら村瀬たちもいじめを認めざるを得ない。それなら俺は解放されるぞー!


「何言ってるんですか先生。私たちと森木っちは友達ですよ。体育祭のときにあって。もちろんカツアゲなんかもしてませんよ。ねぇ森木っち?今私の言ったことに嘘はあった?」


ちくしょうこのやろう!上手いこと言いやがった!


たしかに全部本当のことを並べやがった。体育祭の時にあったのも本当だし、いじめの可能性はあってもカツアゲはしていない。


くそっ!これじゃあ嘘だと言えない。


よって俺は頷く。


「それなら、最後に証拠」


村瀬は何やらスマホを取り出し、先生に見せる。


「ほらね。ちゃんとラインも交換してるし。これで十分?」


村瀬は自信満々に言う。


こうなってしまえば、先生は反論はできない。


「悪かった。てっきり、その子がいじめられてるのかとな。仲がいいのなら構わない。それじゃあ、さようなら。夜遅くまで遊んだりするんじゃないぞ。それと、お前たちスカート短すぎるんじゃないか。もう少し長くしておけよ」


せんせえええぇぇぇぇえ!!!!


助けてえぇぇぇえ!!!!


先生がいなくなったの確認したギャルズは、俺を押しながら走っていく。いや、絶対逃げてるだろこいつら!


学校の外に出たら、俺を押す手を離してくれた。


「ふぅ、危なかったねー!もし、森木っちが先生に助けを求めてたら私たちやばかったねぇ。もしかして、意外と森木っちは私たちといるのに喜んでたりして」


「んなわけねえだろ。一応パシリだぞ、喜んでやるやつなんていないだろ。一応、村瀬さんの言ったことに嘘はなかったし……」


「私のことは愛月(あずき)でいいよ。森木っちって面白いね。結構好きだよ、そう言うところ」


「わ、わかった。あ、あずき……」


なんかあっさりだけど、女の子に好きって言われた。つい照れてしまった。


「それでよし。それじゃあ行こっか」


「行くってどこに?」


「お話ができるところに……」


やばい。愛月の表情が変わった。


そうだった。すっかり忘れてしまっていた。


今日何故呼ばれたのかを。

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