第62話 パンケーキ
「そろそろご飯にしよっか」
気づけば、時計の針は午後一時を過ぎていた。
「そうだな。どこか行きたいところとかあるか?俺はどこでもいいけど」
こういうのは女子の行きたいところに行くのがいいんじゃないか。まぁ、俺に選べと言われてもMドナルドとかしか浮かばないし、そんなとこにJKが行きたいはずがないよな。
「そうだな……、私は特にどこでもいいけど、くるちゃんはどっか行きたいところとかある?」
「そうだな……、それなら、パンケーキとかは?」
パ、パ、パ、パンケーキ?!噂には聞いたことあるぞ、パンケーキ!
なんかめっちゃくちゃオシャレな食べ物だってテレビとかで見たことあるぞ。
パンケーキか……。うん。悪くない。もし、俺が行きたいとしても行く勇気が出ず、結局行けないということになるのは考えればわかる。
それなら、一ノ瀬と真昼の付き添いということでパンケーキとやらを堪能しようではないか。
「そっ、そうだな。パンケーキにしよう」
「オッケー。それじゃあ近場でパンケーキ屋さんは……」
一ノ瀬はスマホを取り出し、何かしている。
おそらく、Qoogleマップとかだろう。
そして、数秒後、一ノ瀬の視線はスマホからこちらに向けられた。
「あったよ。結構人気のお店が徒歩10分ぐらいのところにあるよ。行ってみようよ」
「そうだな。それじゃあそこにするか」
「うん」
こうして、俺たちは一度ショッピングモールからは出て、人気店とやらのパンケーキ屋に向かった。
そして、10分ほど歩き、そのお店の近くで俺たちは止まった。
「まじかよ。大行列じゃねーか」
そう。その店の前には大行列ができていた。
「よし。頑張って待とうか。これぐらいなら30分ぐらいでいけるんじゃないかな」
俺は今までご飯を食べるのに待ったことがほとんどない。待ったとしてもたかが10分程度だ。
それ以上待つと思った時は店を変えていた。
そのため、一ノ瀬のこの言葉には少し驚いた。
えっ?この行列に並ぶの?!
2人は当たり前のごとく行列の一部となったので、俺もついていった。
頭の中では、「はっ?!こいつら馬鹿なの?!行列に並ぶとかこの世で一番無駄な時間じゃん」と思っているが、口には出さずに俺も行列の一部と化した。
「京くんってパンケーキとか食べたことあるの?」
並んでる間、一ノ瀬は俺に聞いていきた。
「いや、見たことも食べたこともない。でも、うまいってのは聞いたことがある。だから、結構楽しみなんだよな」
「そっか、それは良かった。多分、満足できると思うよ」
隣で真昼もうんうんとうなずく。
「そうか、それは楽しみだな」
その後も色々と話をした。
そして、話をしている間に店の前まで来ていた。
そして、女子2人が店から出てきた。
そろそろかな。
「次の方、どうぞ」
あんなにもの行列だったのに、全然苦ではなかった。
友達と話をしていたらこの行列が一瞬のようだった。
俺たちは店の中に入り、席に座った。
それにしても……、この店、オシャレだな。
オシャレとか全然わからない俺にでもわかる。この店はオシャレだ。
「京くんはどうする?」
一ノ瀬はそう言って俺にメニューを渡した。
俺は渡されたメニューを見た。
それにしてもどうしたことか……。
メニューには、クリームやらなんやらが乗っていて、まさにオシャレだ。
「じゃあ俺はこのクリーム乗ってるやつにしようかな」
「オッケー、じゃあ頼むね」
そう言って一ノ瀬は店員を呼び、メニューを注文していく。
そして、数分待った後、店員が持ってきた。
ん?これがパンケーキなのか?なんか思いっきりホットケーキにクリーム乗っけただけにしか見えないんだけど。
しかも、値段は1000円……。
おい!ぼったくりじゃないか!家で作ったら500円なくても作れるんじゃないか?!
こんなのなら、俺でも作れるぞ……。
どうせ味も普通のホットケーキと大して変わらないんだろ?……
「うまっ!」
それは、家で食べたことのあるホットケーキと全然違う。
なんか旨味が口の中に広がってくる。
これは見事なものだ。とても幸せな時間だった。
「ほんと、ここのパンケーキ美味しいね」
「うんうん。とっても美味しい」
俺は一瞬でパンケーキを食べ終えた。
一ノ瀬や真昼もすぐに食べ終わった。
「それじゃあそろそろ行こっか」
そう言って一ノ瀬は伝票を手に取った。
よし、ここで、俺は言わなくてはいけないんだよな。
「あ、ここのお金は俺が出すよ」
よし、言えた。女子との食事は全部男が出さないといけないと聞いた事がある。
「えっ?どうしたの?付き合ってるわけじゃあるまいし。ってか、最近だったら付き合ってても割り勘の方が多いんじゃないの」
「あ、そうなの」
なんか、めっちゃ笑われた。
なんか、恥をかいてしまった。
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