第27話 おつかい

私は今、人生で初めてのおつかいをしている。


京くんが私におつかいに行って欲しいってことよね?


それって私は頼りにされているってことよね?


それなら頑張らないとね。


私は一ノ瀬さんからもらった紙を再び見る。


紙には店と、そこで何を買うのかがとてもわかりやすく書かれていた。


コーマン(ホームセンター)


フライパン 1個(安いやつ)


ダイトー(100円ショップ)


大きめのお皿 3枚

コップ 3個

箸 3膳

菜箸 1組

スプーン 3本


近くのスーパー


サイトウのご飯

鶏もも肉

玉ねぎ

牛乳

バター

こしょう

トマトケチャップ

サラダ油

飲み物


と書かれており、最後に、「ダイトーは最後に行くべき」と書かれていた。


よし、やるぞー!


私は始めにコーマンに向かう。


コーマンって初めて来たけど…、めっちゃ大きいー!


私は少しテンションを上げながらコーマンに入る。中に入ると改めて大きいことを再確認。


ここで鬼ごっことかやってみたいなー。


そんなことを考えつつ、フライパンを探す旅に出た。


フライパンはキッチン用具だから…、だからどこにあるんだ?!


わからない…。はじめから躓いてしまった。


どうしよう…。まぁひとまず適当に歩こうかな…。


私はこのホームセンターで見つけるまで歩くことを決意した。


歩きはじめて10分ほどだっただろうか。


ようやく見つけることができた。


それにしてもフライパンが3種類もあった。


どれを買ったらいいんだろう?


私は迷う。


3分ほど考えた。しかし、あることを思い出す。そして、ポケットに入っている紙を取り出す。


やっぱりそうだー!フライパンは安いのでって書いてあった。


今日の私、なんか冴えてるかも。


そして、結局私は1000円にもいかないフライパンを購入した。


ファーストミッションクリアー!


次に私はスーパーへ。


スーパーにはよく行くが、今日買う予定の商品のほとんどは買ったことがない。買ったとしても飲み物系だけ。


正直言って買える気がしない。


まぁ、ぶらぶら歩いて見つけ次第買うって形で。


始めに野菜コーナーへ。


そして、すぐに玉ねぎを見つけ、手に取る。


そこからは、場所の見当もつかないので手当たり次第に歩く。


そして、15分ぐらい歩いた結果、鶏もも肉、牛乳、バター、塩、こしょう、トマトケチャップ、そして、飲み物はお茶の2リットル入りのやつを買った。


よーし、これで残るはサイトウのご飯とサラダ油ね。


正直言ってこの二つは見たことがない。


探し方がない。


その後も5分ほど歩いてみたものの、やはり実物を見たことがない以上見つけることができなかった。


ようやく諦めた。


ちょうど店員さん(男)がいたので、書くことにしよう。


「あの…すいません…、少しお時間大丈夫ですか?」


「はいぃいいい?!」


店員さんは「はい」と返事をしようとしたのだろうが、声が裏返っていた。


(やっべ、めっちゃ可愛い子来たーーー!ほんとにやべー!髪はめっちゃ綺麗だし、顔もめっちゃ可愛いし、おっぱいもでけーし!性格も良さそうだし、こんなの学校じゃモテモテなんじゃね?欠点とかなさそうだな。それに、突然のことすぎて声裏返ってしまったー!)


「はい、大丈夫ですよ。何かお困りですか?」


改めて店員さんは聞いてくれた。


「あの…実は…サイトウのご飯とサラダ油ってやつを探してるんですけど…、場所とかってわかりますか?できれば教えていただかませんか?」


(なんなのこの子?!まじ可愛すぎなんですけどー!まさに天使だ!よし、ここはひとつかっこつけるぞー!)


「はい、こちらですよ」


店員さん笑顔で先導して、目的の商品の場所を教えてくれた。


「本当にありがとうございます!」


ズッキュン!


ここの店員は真昼の笑顔を見たら恋に落ちた。


「は、はい。どういたしまして。ぜひ、また来てくださいね?」


「はい、また困ったらよろしくお願いします」


「は、はい!ぜひ!」


真昼は商品の入ったカゴを持っていき、購入する。


セカンドミッションクリアー!


私は意外とやるときはやるのかもしれないなー。



皆様はお気づきだろうか?


真昼がある商品を忘れていることに。



真昼はそんなことも知らず、最後の店、ダイトーへと向かう。


ダイトーでは特に迷うことはなかった。


たしかに、どのお皿にするか、どのコップにするかなどは迷ったが、商品を探す旅にはならなかった。


結果、ダイトーでは10分も滞在せずに終えた。


オールミッションクリアー!


することが終え、あとは帰るだけだと考えると気が抜け、お腹が空いてきた。


早く帰ろう!


今日の私は色々と完璧だった気がする。


京くんは褒めてくれるかな…?


きっと、いや。必ず褒めてくれるよね?


こんなにも私が頑張ったんだよ?!逆に褒められない方がおかしくない?


そうして、私は重い荷物を手に持ち、少し早歩きで自宅へと向かう。


「京くん!師匠!待っていてください!私は今から帰りますよー」

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