第33話 もっとです

「やっちゃったね私たち。とっても幸せだよ」


「アイン…俺もだよ」


 本当に幸せだ。心がぽかぽかしてる。あの、アインと会えなかった心にポカンと穴が開いていた時とは全然違う。


 ふぅっと一息ついてアインから顔を逸らしきれいな夕陽を見つめる。しかし自分から目を逸らされたのが不満だったのか、ぷうっとほっぺを膨らませてヴィークをつつく。


「ちょっと~こっち見てよぉ!」


「ダメだ。幸せ過ぎて顔のにやけが止まらないんだ。こんなのアインに見せられないよ」


「大丈夫。私も同じくらい顔にやけっぱなしだから。私はにやけた顔でもいいからヴィークの顔がみたいの」


 アインに言われしぶしぶと言った感じてゆっくりと顔を向ける。しっかりした彼氏で居たいからこんな顔見せたくない。


 顔を上げてアインを見た。そこにあったのはにやけた顔ではない満面の笑顔だった。


 そしてその笑顔に反応するかのようにアインもどんどん笑顔になっていく。


「ねぇヴィーク…私からキスしてもいい…?」


「え?」


 もうこれで終わりだろうと思っていたヴィークは驚いた。そんなことをアインから言われるとは思っていなかったから。


「さっきはヴィークからしてくれたでしょ? 次は私からしたいなって。それともこういうこと言う私は嫌?」


「そうじゃないよ。ちょっとびっくりしただけ。アインからしてくれるの?」


 アインが小さくコクンと頷く。それと同時に次はヴィークがゆっくりと目を閉じる。なんか恥ずかしい。目を閉じてアインのキスを待つのってなんだか照れてしまう。


 いつ来るのだろう。目の前にアインがいるけれど今どんな顔しているんだろう。目を閉じただけでそんないろんな思いが浮かんでくる。




(ヴィークが目瞑ってくれた!)


 目を閉じたヴィークを見てそんなことを思うアイン。今、ヴィークにキスされて最高の気分だ。本当ならさっきの一回で大満足。でも今のアインは我慢できなかったのだ。


(私は今の一回だけ。それも一瞬じゃ私足りないよ…ごめんねヴィーク。こんなわがままな子で)


 心の中で謝って目を瞑っているヴィークに少しずつ顔を近づける。


 そして次はアインの方からヴィークにキスをした。


「んっ」


 さっきみたいな一瞬だけ唇と唇が触れ合うキスではない。しっかりと唇を重ねたキス。驚くほどに柔らかな唇の感触が2人に伝わる。


 びっくりして目を開いて後ろに下がろうとしたヴィークに、逃がさないと言わんばかりに両腕を首に回す。


「ちょっ…ア…インッ…」


 離れようとするヴィークだが、アインが強い力で首に腕を回されていてどうすることもできない。本来なら力でアインに負けるわけがないのに、今は甘い感覚のせいか力が上手く入らない。


 甘い感覚が身体全体を襲う。


 アインを見れば幸せそうに口づけしていた。それを見てヴィークもそっとアインの首に腕を回す。


「んっ…」


 アインは嬉しそうに甘い吐息を漏らす。もっともっとといった感じでヴィークの唇を求めた。それに応じるようにヴィークもアインの唇を求める。


 幸せ物質が身体全体からあふれてくる感覚。これ以上ないほどの感覚を2人は感じていた。


「はぁ…はぁ…」


 息を切らしたのだろう、2人がようやっと顔を離す。


「ヴィーク…私…」


 目をとろんとさせて嬉しそうに。でも少し申し訳なさそうに言った。


「いいんだよ。最初はびっくりしたけどアインにキスして貰えて嬉しかった。途中から俺だってすごいアインを求めてしまったしね」


「ありがとうヴィーク。本当にありがとね。忘れられない思い出になったよ。これからも私ヴィークにキスしてもいい?」


 もじもじして下を向いてしまったアインに優しく「もちろん」と返す。笑顔になって顔を上げた瞬間、ヴィークがチュッと不意一でキスをした。


「ちょっとヴィーク! 今のはずるいよ!」


「もうっ」と言うアインだが、顔は楽しそうに笑っていた。




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