第31話 ドキドキします!

 ヴィークは少し離れたところで着ている服を脱ぐ。言ってしまった、やってしまった。さてどうしよう。ほんとにしてもいいの? 


 ついさっきヴィークはアインに「えっちなことしたい。etc。etc」と言って欲望丸出しの発言をしてしまった。


 しかし、まさかのアインに良いよと言われた。それはその言葉の通りえっちなことをしてもいいという同意が取れたといってもいい。


 ただ、結構やばいことを言ってしまったものだ。あんな事言ってしまえば引かれるどころの騒ぎではない。下手をすれば嫌われる可能性もあった。でもアインはいいよと言ってくれたのだ。


 アインもしたいと言っていたし、我慢する必要はないだろう。でもヴィークの心の中に引っかかることがあった。


「でも俺のあの言い方はやばいだろ。いくらアインが優しいからって。あぁ、俺変態だって思われてないよな…?」


 もし、アインに変態だど思われれば最悪だ。もう生きていけない自信がある。でも流石にそんなことをアインは思わないだろうと信じる。


「ヴィークまだ~? 私もう先についちゃったよ!」


 女の子より脱ぐのが遅いわけがないのだが、いろいろ考えているうちにかなり時間が経ってしまったようだ。「よしっ!」と一つ掛け声を出せばもう大丈夫。いつもの冷静で頼りになるヴィークの完成!


 ということにはならず…


 心臓はバクバク。変な汗まで流れてくる。告白したあの時とはまた違った感じ。今からすることになるであろう事に対して期待や不安、どこまでなら許されるのだ?


 もちろんアインが少しでもダメだったらそれ以上する気はない。期待もそこそこに不安がとても大きい。


 変態という方への不安はもう一切無いが、他の不安はたくさんある。もっと落ち着かせるための時間が欲しい。


 しかしアインを長く待たせるわけにもいかない。ヴィークは勇気を出してアインの待つところへ一歩踏み出した。




 ◆◆◆




 ヴィークがいろいろ思っている中、物凄く緊張しているのはヴィークだけではなかった。


「ヴィークにあんな事言っちゃったよぉ~! 私、えっちな女の子って思われてないよね…?」


 こちらも絶賛悩み中。ヴィークに言われて変なこと言ってしまった。どうしよう、どうしよう!


 あんなこと言われて嬉しくて出てきた言葉だが、今思い出してみればとても恥ずかしい。


「でもヴィークだってそう言ってくれたんだから…大丈夫。でも嬉しいなぁ。私とキスとかしたりもっと触れ合いたいとか。ん~! ドキドキする!」


 顔がにやけてしょうがない。ぺちぺちほっぺを叩いて顔のにやけを直そうとするがどうにもならない。


「ようやっとヴィークとキスとか出来るんだ。ほんと少し前ならこんなこと想わなかったよ。今の私って幸せ」


 あの辛い日々ヴィークが本当に迎えに来てくれて。こうして恋人同士になって…今日もっと2人は深い関係へ。


「そろそろヴィークも出てきてるかな。待たせないようにしないと」


 木陰で服を脱ぎ終わったら、タオル一枚持って集合場所の湯がたまっている場所へ。


 今、手に持っているのは小さなタオル一枚。サムの家では大きいタオルで身体全体を覆っていたがその必要はない。


 ドキドキする。結局サムの家で自分の身体をすべて見られることは無かった。でも今日はそうじゃない。


 ぎゅっとタオルを握り締める。今になって恥ずかしくなってきた。初めて異性、それも自分の好きな人に身体を見られる。


 太ってない? エルのご飯美味し過ぎてたくさん食べてしまった。


 お腹周りを触って確認してみるけど、うん。問題なさそう。太っていなかった。


「それじゃアイン行きます…ってあれ? ヴィークまだ来てない?」


 集合場所についてもヴィークはまだ来ていなかった。あれだけいろいろ気にしたのにちょっと意気消沈。呼んでみてしばらくしたらこちらへ来る気配が。


 湯気で全然見えないけれど一歩一歩ゆっくり近づいてきてる。


 アインは下を向いてその足音の主が来るのを待った。





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