第17話 加護が欲しいです

 お腹いっぱいでしばらく動けなかったヴィークだが、30分もすると動けるようになったのか洗い物をしているアインのもとへ向かった。


「アイン、俺も手伝うことはない?」


 エルとアインがまだ皿洗いなどをしている中、自分だけゆっくりしているのは居心地が悪かった。サムはというとやることがあると自室に行ってしまった。


「うーん。もうそろそろ終わっちゃうよ」


「なら、お風呂の準備をしてもらえますか? いつもお湯を作るのに時間がかかってしまって。薪で温めるので大変ですけどお願いしてもいいですか?」


「もちろんです! それじゃやってきます」


 仕事がもらえたヴィークはやる気満々で部屋を出て行った。



 ◆◆◆



 しばらくしてお湯を沸かし終えたヴィークは先入っていいよと言われたので一番風呂を堪能することに。例によってアインというオプション付き。


「今日の晩御飯ほんと美味しかったしすごかった。アインの料理の腕は天才級だな」


「そ、そんなことないよ。エルさんが上手に教えてくれるから」


 確かにエルは年の功というか経験が豊富だからか教えるのがとても上手い。でも、アインが本気でエルから教わっているということもあるだろう。お互いが本気。上達の秘訣。


「ははは、もしかしたらアインには料理が上手になる加護でもあったのかもな」


 そう。忘れられているかもしれないがこの世界にはアンデットから人類を救うために神が与えたもの「加護」がある。そのすべては戦闘に役立つようなものだが、もしかしたらそんな加護もあるのかもしれない。ヴィークはそんなことを考えながら遠い目をしていた。


「私は加護なんてもらえなかったよ。もし、私が良い加護もらえてたらお兄ちゃんが勇者パーティーにいるとき、私も一緒にいれたのかな」


「そ、それは…」


 ヴィークは答えられなかった。アンデットとの戦いでの最前線は想像を絶するほど過酷な場所。命の保証はできないところだ。そんなところにアインといたいかと言われれば答えは「ノー」だ。


 でもあの親といて辛かったのもわかる。一緒にいても地獄、離れていても地獄。


「ごめんね。お兄ちゃんを困らせるつもりはなかったの。ただもしそうならどうだったのかなと思ってね」


 アインはそう言うと風呂から上がってしまった。ヴィークもそのあとさっきの言葉を考えていたが、しばらくして風呂から上がっていった。



 ◆◆◆



「お休みお兄ちゃん」


「あぁ、お休みアイン。しっかり寝るんだぞ」


 サムたちにに借りている一室。ヴィークとアインは布団を横に並べて今はもう寝るところ。


「お兄ちゃんまだ起きてる…?」


「んっ…起きてるよ。どうした?」


「ちょっと眠れなくて…」


「なら、少しお話しようか。アインが眠るまで」


 しばらく今日あったことなんかを話していた2人。そのうち風呂でした話になっていった。


「やっぱり私も加護欲しかったな」


「そんなにいいもんじゃないぞ。それにアインをあんな場所に行かせたくはないな」


「そう言う意味じゃなないよ。もし、お兄ちゃんに何かあったときとかに私もお兄ちゃんを守れるくらいの力が欲しいって。約束したでしょ。お互いが守り合うって」


 アインとヴィークがした約束。戦う力がないアインがヴィークを守るために加護の力が欲しいらしい。アインの願いは出来るだけかなえてあげたいと思うヴィークだが、これだけは叶えてあげることはできない。


 ただ、希望をあげることは出来る。


「そっか。アイン嬉しいよ。アインが俺のことそんなに思ってくれて。これは聞いた話だけど、加護は12歳で得られるものだけど20歳くらいで得た人もいるんだって。強く願えば神様は応えてくれるよ」


 これは噓偽りないほんとの話。12歳の一年間で得られなければもう得られないと言われているが例外もいくつかある。その人たちに共通しているのは「誰かを守りたい」と強く思ったこと。神様はそんな人に応えてくれる。


「だから、アインが大切に思ってる人を今以上に思えばいつか本当に力が欲しくなったときに加護を授かることができるよ」


「お兄ちゃん…分かった! 私、今以上にみんなを大切にする!」


 アインはそう強く宣言した。


「それじゃこうします」


 アインはそう言うとヴィークの布団にごそごそと入りだした。驚いたヴィーク。今の話の中にこんなことをするような内容の話があっただろうか。いや、ない。


「私が一番大切な人はお兄ちゃん。他の人も大切だけど絶対お兄ちゃんが一番だからこうします」


「そっか。ありがとな。俺も一番大切なのかアインだよ。でも、こうやって寝るのは…まあいっか」


 そう言うとすうすうと眠りについたヴィーク。その横でアインがポツリとつぶやいた。


「私が寝るまでお話してくれるって言ったのに。しごとで疲れちゃったのかもしれないし、仕方ないか。でもあれだけアピールしたのに気づかないなんてお兄ちゃん鈍感さんにもほどがあるよ…」


 アインはそう言うとヴィークの横で眠りについた。大好きな人にくっついて。




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