第四章 第十四話
翌朝、俺と真白はゾ―ディア財閥の車に乗り、シルフ本部へと向かった。
「良子さん。勝手な事してスイマセン。でも、戻るにあたって、真白の件を詳しく話して欲しいです」
3日ぶりにあった良子さんはどこか申し訳なさそうな、でも嬉しそうな、そんな表情をしていた。
「そうね。黙っていて悪かったわね。この件を詳しく話すわ……あの日私は北斎さんに学校で会い、そのまま学院長と話をして、強制的に本部へと連行したわ」
学院長もグルだったのか……そりゃ、岩清水先生が知る訳もないか……
「でも、どうして強制連行する必要が?」
「実はね、北斎真白が鍵かトリガーかのどちらかではないかとされていたの。そこで、何としても22年前の悲劇を繰り返さないようにするために苦痛を与えて、能力を施設内で解法させる必要があったのよ。だから監禁して拷問した。私自身、その研究については深く関わってないの。でも、この件が発覚したときすごく心が痛かったわ」
「22年前?」
22年前――それは柊人が生を受けるもっと前の話
「22年前。今と同じような事が起きたの。私たちは世界の転換点と呼んでいるわ。そして、君のお父さんが研究している事件よ」
「お父さんが?」
お父さんが海外で研究しているのはこの事件の事だったのか?
「そうよ。22年前は厨二病という概念があまり浸透していなかったわ。でも、珍しい事に四条宗一郎さんと石川正造の親友であった南慎吾が厨二病患者だったの。そして……世界を変えてしまった」
つまりは、22年前同じことが起こったと……
「で、今その南さんは?」
「残念ながら自殺したわ。その影響で世界は更に歪んでしまった。人々は世界を元に戻そうとした。そこで研究を続けた結果シエナという神がこの世界を創造している事がわかったの。その時には能力者として、次元師という人達がいたの。それで、何とか次元を元に戻し、シエナの能力を封じこんだ。でも今は次元師の存在は確認できていない。でも、幸いあなたはまだ生きている。つまり、世界は鍵で戻せるのよ」
自殺だと……そんな。真白の命より、俺の方が命の危険があるのでは?俺が死んだら世界は戻らないって事だろ?でも、まてよ、つまり俺が犠牲になるのか?いや、鍵が犠牲になるのか?分からねぇええ!
「でも、今回は鍵がある。だから世界は元に戻るわ」
後ろで黙っていた真白が口を開いた。
「そんな理由があったなんて……拷問については許せないけど、この件が終わるまではひとまずなかったことにしてあげるわ。鍵の可能性があるなら私も協力できるはずだし」
「ホントにごめんなさい。私たちのしたことは許されないわ。でも、協力してくれてありがとうね」
良子さんが泣きそうになりながら言った。
「で、良子さん。俺たちはどうすればいいですか?」
「そうね、北斎さんにはここに残って、色々と話を聞かせてほしいわ。で、柊人君はヤマナニュービルディングに向かって頂戴。二人は先に行ってるわ」
「わかりました。メアリーさん送っていってくれませんか?」
「了解です」
ゾ―ディア財閥執事のダリアス・メアリーさんに送っていってもらう事にした。
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