第三章 第三話

ピピピピピピピピピ

「ん~ふぁ~」

『本日は7月17日です!本日のニュースを見ていきましょう!まず一つ目に京都府で火災が発生しました………… 次です…速報が入ってまいりました!今日未明、大阪府の養条学園高等学校にて体育館の崩壊がありました。学校長が午前6時頃出勤した際に発見したという事です。養条学園は昨日終業式を執り行っており、今日は誰も生徒は登校していなかったためけが人はいませんでした。原因は今のところ不明です』

 ん?速報?朝みつけた?どうなってんだ?昨日さんざんニュースになってたじゃないか?!ますます理解がおいつかん…えぇと。妄想?が現実になって……えぇと厨二病が……シルフが……ん?え?夢だったのか?!でも今日は17日だよな……間違いない。う~ん……

 状況が飲めこめず考え込んでいると電話が鳴った。

「はい、四条です」

「柊人君?百川だけど!もう少ししたら迎えに行くから!降りといてね~!」

「っえ?ちょ―――プッープッー」

 切れた。ほんとに言葉のキャッチボールというものをしらないのかな……って!迎えにくる?!なんですとぉ!今日もあの厨二団体に行かなきゃだめなのぉ……俺の休日ぅう!


「おはよう柊人君!」 

「おはようございます……なんで僕はまたこの車に乗せられてるんですかね……」

「そりゃ~君もシルフの一員になったからねぇ~ほんとは本部に住んでほしいんだけど、妹さんもいるし、そこまで強制はできないからねぇ~」

「そうですか……あ、そうだ!昨日の事件の事!覚えてますか?!」

 百川は、一瞬間が開いた後、何かに感づいたように答えた。

「もちろんよ!あ、もしかしてニュースとかみた?」

「はい……みました……それで、今日未明に発見されたって……」

「そうよ~うちの能力者で一部の人間の記憶以外書き替えておいたの。そうしないと、柊人君だって日常生活を送れなくなるでしょ?」

「それはそうですけど、そんなのどうやって?!」

「それはねぇ~君の力と大きく関係するんだけどね。詳しく聞く?」

「お願いします」

「分かった。じゃあ話すわね――今この世界は保たれていたバランスが崩れたの。元々この世界はシエナと呼ばれる神様が統一していたの。シエナはこの世界を統一するために、かつて人が持っていた魔力を人からすべて吸い取ったの。そうして人々は知らぬうちに魔法や特殊能力というものを失ったの。しかし、そのバランスを君が崩してしまった。それは何故なのか分からない。しかし、それが原因で限られた人間にだけ特殊能力が蘇ったの」

「そんな……じゃあ全部僕が悪いんですか……」

「なにを言ってるの?君が悪いんじゃないわ。だってこの状況はすべてシエナになにかがあったからだもの……柊人君が気にすることはないわ。それにこの世界だって以前のように戻る方法だってあるんだもの」

 百川が少し下を向いて答えた。


 RX-7は前にいた駐車場へと到着した。相変わらずの静寂に包まれている。しかし、その静寂さの中から強いオーラを感じた。例の少年だ。

「柊人君。紹介したい人が居るの。この子は乾克実いぬいかつみ君。記憶を操る能力者よ」

 乾という少年は深くかぶっていたフードを外し、白い歯をのぞかせた。

「初めまして!僕は乾克実!君が噂の四条少年だね~?よろしくですぅ~」

不気味なオーラを放ちながらも爽やかな笑顔でこちらを見ていた。

「あぁ宜しく。俺は四条柊人。この世界を妄想によって歪ませてしまった者だ」

下手に出るより、様子をうかがった方がいいな……こいつは危なそうだ……

「というわけで、仲良くしなさいよ~!君たちにはこれからた~くさん共同作業してもらうんだからねぇ~」

「了解ですぅ~」

「なんだかよくわらないけど、わかりました。乾!宜しくな!」

 また笑顔で乾がこちらをみてきた。不気味なやつだが、悪いやつではなさそう……かな?

「さてさて、ではついてきてください~もう一人僕のお友達の能力者をご紹介します~あ、そうだ僕はじゃぁ~っかん狂っていますが気にしないで下さいねぇ~決して危険人物ではないので~~あ、でも、僕を怒らせると簡単に記憶消しますので~その辺だけはご了承を~」

 うん。やっぱり。危険人物ではなさそうだが狂人の変人だ……


 司令部へと続く長い長い廊下の間にある一部屋に二人は入った。

「つきましたぁ~ここに僕のお友達がいるで~す」

 果して次はどんな奴がでてくるんだ?!サイコパス科学者か?殺人ピエロか?ナイフ舐めてるような怖い女か?一体どんなやつが―――

「か~みや~く~ん!四条少年をつれてきたですよ~」

「なんだ克実か。お前、もう少し普通にできないものなのか?」

「普通?普通ってなんです~?これが僕にとっての普通なのですよぉ~」

「あぁ。もうわかったから黙ってろ!!」

 鋭いかっこいい声だ……

 かみやくんという少年が座っていた椅子を回転させてこちらをみた。

 銀髪に銀縁の眼鏡にすらっとした顔だちで座高は高い。まさにエリートイケメン眼鏡男子って感じだ。柊人の想像の遥かななめ下を行っていた。

「お前が四条か。話は聞いている。何やら勝手に、この世界を変えてくれたようだな……ホントにいい迷惑だ……」

「四条柊人です。その節は誠に申し訳ありませんでした」

「まぁいい。起きたものはしょうがない。どういうわけか、お前とグループを組まされた、神谷一かみやはじめだ。柊人か……いい名だな」

「あ、ありがとうございます!」

 すると、克実がクスクスと笑って言った。

「も~ほんとに一はツンデレさんなんですから~」

 すると一は赤くなって答えた。

「うるさい馬鹿!!さ、早く司令部へ行くぞ!」

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