8 妲己の汚名を雪ぐ(中華ファンタジーにおける、私の壮大な計画)


 前回、『史記』の講座に通い始めた二年半前のことをあれこれと思い出していて、自分がどうして中華ファンタジーを書きたくなったのか、初めの初めを思い出した。


『白い髪の少女・白麗』を書いているにあたって、近況ノートなどに、「美少女となって、せめて小説の中で、いい男たちに超モテたい」と繰り返し書いていたものだから、最近の自分でもそうなんだと思い込んでいた。


 いやいや、本当の始まりには、ものすごくな目的があったのだ!




『史記』の講座は、伝説の夏王朝から始まり殷へと……。

 そして、出てきました、あの笑わないことで殷を滅ぼした美女の妲己。


 昔々の中国には、美女が国を亡ぼすという話がけっこうある。傾城とか傾国とかいう言葉があるくらいだ。

 でも、ほんとうに我が儘な美女一人の出現くらいで、国が亡びるのか? 


 覇権を争った男たちの都合の悪い真実を、か弱い女一人の後ろに隠しているのではないか? 


「たとえその言動は世間常識からずれていても、

 私は、健気に頑張っている女性の味方です」


 的な純文学系小説を書いてきた私としては、女一人に罪をかぶせて知らん顔を決め込むずるがしこい男たちの企みは許せない。


 教室の隅で一人、「妲己よ、待っていてね。いつの日か必ず、あなたの汚名を雪いであげる」と拳を固く握りしめたのだ。




 しかしながら妲己さん、ごめんなさい。


 前回の記事を書くまで、『白い髪の少女・白麗』に登場するイケメンたちの造形に夢中で、私、あなたのこと、すっかり忘れていました……。




『白い髪の少女・白麗』は、慶央篇・安陽篇と初め二部作だったのだけど、思いついたことがあったので、三部作にする予定。


 そのあと、妲己さんの汚名を雪ぐ大長編小説を書こうと思う。


 美女に生まれついたばかりに、男たちに弄ばれささやかな幸福を求める人生を送れなくなった妲己の、国をも亡ぼす壮大な復讐劇だ。


 ……で、それだけでは面白くないので、〈百合〉要素を盛り込んでみたい。

 たぶん、書き始めるのは、三年後となりそうですが。






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