黒雲の持つ銀の裏地 ーEvery cloud has a silver liningー

作者 常山 無

103

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★★★ Excellent!!!

あらすじや冒頭からドロドロした三角関係の印象を抱きますが、全然そんなことはなく、もっと深いもの、人間として大事なものを描いたお話だと思いました。

登場人物ひとりひとりの言葉がズシリと胸に響いてきます。

性犯罪という重い内容を扱っているので読むのが辛くなる場面もありますが、先が知りたくてどんどん読み進んでしまいます。

性別を超えた「愛」とは何かについて深く考えさせられました。

ぜひ多くの人に知ってもらいたい作品です。

Good!

私たちが日常的にしていることは、セカンドレイプに当たらないか…考えました。

きっと性的被害だけにとどまらず、心のどこかで被害者に責任があるように考えていることがきっとあると思います。

すごく読んで良かったです。

悲しいけど、素晴らしいお話でした。
ありがとうございます。

★★★ Excellent!!!

最初は千佳を応援していました。
結婚間近の彼女を迷わず棄て去り、その後もまったく彼女の心を労わらない達也をなんて非人道的な男だと。

けれどけれど……。
この作品を読み続けて中盤頃からどんどん考えが変わってきました。

まるで「禁じられた魅惑」という罪を背負って生まれてしまったような不幸な悠人、彼の純粋無垢な疑問や苦しみを払拭しようとする達也を、いつのまにか応援している自分がいました。
後半には千佳も憎しみの感情より彼を理解する立場へと変わっていく。なんて奥が深いのでしょう。

こんな風に180度、読者が抱くキャラの印象を変えてしまえる作品に、初めてであったのだと思いました。
類似する物語を読んだことはたぶんないです。

徹底的なオリジナリティに、軽薄ではなくしっかりとした説得力が伴い、最後の結末を読まずにはいられませんでした。
素敵な作品にであえたこと、感謝いたします!

★★★ Excellent!!!

この作品をどういう風に紹介すればいいのか、ちょっと悩みます。

一言で言えば、同性愛ということなんでしょうけど、そういうものをはるかに通り越している。

愛の形、性の形、いろいろなものを突き詰められる。


白状しますと、読んでいて辛くなり、もうやめようかと思ったこともありました。

でも、どうにも続きが気になり、結局、最後まで読んでしまいました。


皆さんが、この作品を読んで、どんな思いを持つのかとても気になる作品です。

★★★ Excellent!!!

ひたすら「なぜ」ばかりが押し寄せてくる序盤。
どうして別れるの?
どうして付き合うの?
どうして……
それが一人の少年の悲劇を軸に順に明かされていきます。
人間関係、理由、結果。
そして深部が見えたときに物語が変化していく。
そして少年は……

ベースはBLですが、BLというよりも「愛って何?」という問いかけに近い気がします。
根底にあるのは性犯罪への強い憤りと、それを取り巻く環境への反感。
それは異性間だけでなく、同性間にもあるということ。
何気ない気持ちでかける言葉が、どれほど痛い物なのか。
人物像等がとてもリアルで、少年を取り巻く環境が過酷であるために、読んでいる方も苦しくなってしまいますが、それでも読破し、最後の最後まで見守って欲しいと思います。
拝読することができて、出会うことができて良かったと思う、素敵な作品です。

★★★ Excellent!!!

 主人公は子供のころに、レイプされた経験を持っていた。待っていたのは、世間からの差別と無理解。そして、嘲笑といわれのない怒り。男の子だから、気にすることはない。女の子だったら、傷物としてお嫁にも行けないんだから。そんな風潮の中で生きてきた。主人公にとって、それはまさしく地獄の日々。
 主人公は父親のつてで、自動車部品の会社に勤め始めた。まだ未成年だったが、大学に行くことは諦めた。主人公はその父親からも、性的虐待を受けていた。そして社員寮でも、問題が発生する。
 主人公は、結婚間近の女性がいる上司の家に居候することになった。女性は主人公が男だから、何の問題もないとタカをくくっていた。しかし、上司は女性よりも主人公を優先するようになっていく。そして女性は上司と別れることに。
 主人公は、見つめるだけで相手に性的欲求を抱かせる「魔性」として、周囲を不幸にしてきた。上司の彼女も、母親の友達も、実の父も、他の男性たちも。男女問わず、主人公を求めた。しかし、主人公は繊細な普通の人間だった。眼鏡をかけて自分の「魔性」を消し、トラウマを抱え、感情を殺し、ひたすらに諦念を持った。幾度も入退院を繰り返し、愛と欲望の間で揺れた。
 
 女性の性被害が取り出される昨今。男性の性被害の状況を、わたしたちは知らなすぎるのではないだろうか? そしてその男性たちの苦しみも、悲しみも、知らないのだ。本作は、そんな性的被害者の男性の視点から、人を愛することの尊厳と大切さを教えてくれる。

 是非、御一読下さい。

★★★ Excellent!!!

この物語には、現代社会が抱え、そしてともすれば軽視している「性被害」の問題が、この上ない濃度で凝縮されている。
残酷な性被害を受け続けた青年の、心の傷の深さ。それを抱えながら、彼がどう生きなければならなかったか。——胸を抉るような痛みに満ちた彼の道のりに思わず息を呑み、同時に性被害についての自分の意識を顧みずにはいられない。

あまりにも美しい容姿をもって生まれた主人公、川上悠人。その美しさは性別を問わず周囲の人間を強烈に惹きつけ、強い性的欲求を刺激する。
入社した会社で、悠人が寮の同室の男から性的な被害を受けたことを知り、職場の先輩である高崎達也は悠人をそこから救い出そうと動き出す。
達也には結婚を目前とした恋人・千佳がいたが、やがて達也は千佳と距離を置いてでも悠人を守ろうとするようになり——。

次第に紐解かれていく、悠人の凄惨な過去。幼い頃に男性から性被害を受け、その事件がマスコミを通して広く世間に知れ渡ったことで、悠人の家庭環境、周囲の環境、彼の人生全てが無残に狂わされていた。

性被害を受けた過去は、その後も悠人に付きまとい、絡みつく。一度そのように身体を汚されているという事実を言いがかりに、邪な人間達がその下劣な欲求を彼に押し付ける。抵抗できない子供時代から繰り返し凌辱を受け、悠人はやがて相手の性的欲求をはね返すことを諦めてしまう。「これはなんでもないこと。抵抗しなければすぐ終わる」と受け入れることで痛みを回避する、無抵抗で怯えた空気を纏う青年になっていた。
そんな地獄の底にいる悠人を、どうにかして救い出したい達也。達也の悠人への思いもまた性的な欲求が強く働きつつも、彼だけは悠人の心の痛みを誠実に理解しようと必死に努力し、ひたすら真摯に悠人と向き合っていく。

性被害者の抱える、深い傷。その痛みを理解しようとは決してしない加害者。興味本位にその傷を覗き込もうと… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

BLが苦手な人もいるでしょう。実は僕もそのひとりです。
しかし、こちらの物語はBLが苦手な人でも、読めるBLです。
一番の理由は作者さまの筆力でしょう。情報に過不足がなく、文体は気取りすぎず、読みやすいです。
また、ミステリー要素もあって物語としてもおもしろいです。
ヨム人はもちろんですが、カク人に読んでもらいたいです。
BLが苦手な人も読んでみてください。

★★★ Excellent!!!

大学進学をあきらめ工場に勤める少年は
幼い頃性的暴行を受け、受けつづけ、今も受けていて
絶望して逃げる気力も、拒む気力も、なくしています。

少年をどうにか救い出そうと考えている青年は
少年の状況を知っているがゆえに
なんの手も出せません。
さらに傷つけてしまうから。

ふたりは一緒に生活をはじめます。
お互いに気持ちを隠したり
疑ったり、ごまかしたり。
螺旋を描くようにすれ違いつづける。

そんなメインストーリーに
ふたりのバックストーリーが
ミステリー的にからみ、
千佳という青年の元婚約者が
空回り的に突撃、かきまわして、いえ、かきまわらず。

最後にはふたりは交差して
青年だから少年を救える
少年だから青年に救われる
そういう世界に到達します。

★★★ Excellent!!!

「お前にも落ち度があったんだろう」
その言葉が性被害者を二度殺す、いわゆるセカンドレイプ。
この作品は、過去から現在に渡って被害に遭い続ける少年の心の傷をテーマにした、センシティブなヒューマンドラマです。

本作が秀逸なのは、少年が「引き裂いた」一組のカップルの話から物語が始まっているという点です。
読者の多くは、現実においても、千佳や達也と同じ「普通の」目線の人でしょう。

そんな「私たち」の目に、少年・悠人はどんな存在に映るのか。
それが、この作品のテーマを紐解く鍵だと思います。

悠人がこれまで辿ってきた人生は、筆舌に尽くしがたいほど壮絶なものです。
歪んだ「愛」を押し付けられ、抵抗する気力も生きる気力も奪われてきた。
読み進めるほどに、心をズタズタに斬り刻まれる思いがしました。

確かな血肉の通った登場人物たち。
私は特に千佳が好きです。
人は誰しも先入観や偏見を持っているし、間違えることだってある。常に正しくいられるわけではないけれど、自分の中の正義に従おうとすることで、傷付いた誰かを救えるかもしれない。

暗く重いテーマを扱った作品ですが、それを全て綺麗に払拭するほど清々しく温かい気持ちの溢れるラストでした。
コメント欄の私を見ろ……完全に語彙力失ってるだろ……
素晴らしい物語でした本当にありがとうございました!!!!

★★★ Excellent!!!

結婚寸前の彼氏を、美青年に奪われてしまった……。そんな衝撃のストーリーから本作は始まります。

ただ、本作の魅力は「衝撃」だけではありません。

とにかく重厚であり、現実感がある。読者を引き込む力がある。私が百の言葉を尽くすよりも、一読して頂いた方が、きっと本作の魅力をわかって頂けるでしょう。

そして、性被害について知るきっかけとなる良作でもあります。
物語としても、勉強をするための物語としても、素晴らしい作品です。

★★★ Excellent!!!

 物語は、とあるカップルのエピソードからはじまります。結婚をひかえているというのに、彼氏が新入社員の少年を居候させるといいだすのですね。彼女は心中穏やかではいられません。と、これだけ書くと三角関係のBLものみたいですが、これは軽い気持ちで読めるお話ではありません。性被害という、とてもデリケートなテーマを扱っています。タグをしっかり確認してから本編にお進みください。

 幼いころから理不尽な暴力にさらされてきた、人並みはずれた美しい少年と、彼を支えたいと願う青年の苦悩。同性恋愛という点では確かにBLに位置づけられるのでしょうが、それはいったん忘れたほうがいいかもしれません。

 わたしはこの物語を、暴力によって心を殺され、罪悪感から心を殺してきた少年の、魂の再生の物語だと受けとりました。そして、人間に傷つけられた心を、ほんとうの意味で癒せるのもまた、人間だけなのだと思います。途中苦しくなるかもしれませんが、ぜひ最後まで読んでみてください。

★★★ Excellent!!!

この物語は数話で引き込む力がある、繊細なヒューマンドラマです。
一章ごとの余韻がすごいです。
こんなにも一人の壮絶な人生にスポットを当て深く追求して行く物語に、思わず心がえぐられました。

それぞれの登場人物に対して抱く感情が、後半では大きく変わるのも特徴かもしれません。
最初はこの人は一体なんなの?っていう憤りを抱く場面も多いのですが、それが後になぜそんな行動をとったのかというバックボーンが明らかになっていきます。
その過去が、言葉を失うレベルであり納得性もありで、物語が進むにつれて深く深く彼らの関わりにのめり込んでいってしまいました。

物語の中心である悠人をはじめとする彼らが、いったいどんな未来に向かうのか、ぜひ見守ってほしいです。ラストは、メッセージ性のあるとても良いものでした。

★★★ Excellent!!!

幼い頃から性被害に遭い続けている少年、悠人。
彼を支えたい、そばにいたいと願いながらも、思いが空回りし続ける先輩、達也。
物語が進むたびに二人の過去の出来事が交錯し、二人の心情が少しずつ、パズルのピースをはめていくように読者の中に浸透していきます。

悠人の被害は壮絶です。
読みながら、どれだけ憤りを覚えたかわかりません。
でもこれは、加害者たちを罰する物語ではなく、被害者である悠人を立ち直らせ、前に進ませるための物語です。

「自分は悪くない」という当たり前の事実に悠人が気づくまで、長い道のりを要します。
それだけに、多くの葛藤を経ながら少しずつ立ち直っていく彼の姿が、大変嬉しく感じられるのです。
悠人には、これからもずっと「自分自身の感情」を大切にしてほしい。

大変読み応えのある作品です。
性被害について、被害者の心の傷について、これを読んで考えていただけたら、と思います。

★★★ Excellent!!!

凄かったです、の一言です。
まずこの作品は「BL」と位置付けてはいけないくらいのシナリオの熱さがあります。

読み始めると、不思議な魅力と一話一話惹きつけられるのは悠人の魅惑なのかもしれません。

物語の始まりは、千佳さんと達也は恋人同士。一見、どこにでもありそうなきっかけで物語が進み始める。

当然彼女たちのある種ゴールでもある結婚という互いの人生を足並み揃えて踏み出そうとする前に、運命を変える出来事が起こったのだ。

同棲中、新人の悠人を居候させることに。
そこから、些細なことがきっかけでどんどん凄いことになるんですが、これがもう、凄くて、作者様の熱量が伺えます。

どんなきっかけでこのプロットを練って、この物語を描くことにしたのか。

「好き」とは?
「愛」とは?
「性別」とは?

全ての疑問を紐解くとんでもない展開が読者を待ち受けてます。凄くオススメですよ!

★★★ Excellent!!!

消えない過去、罪の呵責、今も続く苦悩。それを背負った人間は、諦めることで闘うことから逃れようとする。闘って負ける痛みよりは諦める痛みの方がまだマシだからだ。ただ、そうやって殺してしまった心を取り返すのはそう簡単なことじゃない。自分がどうすれば本当に救われるのか、もう分からなくなっている。
僕は「彼」という人間をそう理解しました。

諦めることしか知らなかった少年。物語の中で彼と共有するのは、胸をえぐられるような痛みと絶望です。しかし見返りを求めない愛情を注いでくれる人間に出会ったことで、彼はみずから殺してしまった心を少しずつ取り戻していきます。

読み進めるほどに彼の闇に心が痛む。でも黒雲の裏側にはきっと美しい銀の光が差している。
彼の人生もまた同じ。苦しみの裏側にはきっと明るい希望の光が差してくれるはず。
そう願いたくなる物語です。

★★★ Excellent!!!

タグにある通り、BLであり、性被害を扱った作品です。
つらい過去、重い展開もあります。
しかし、だからこそ、伝えたいことが心に響きました。

タイトルかっこいいです。

恋と欲に関することも深いです。色々考えさせられます。
愛の形も様々ですね。

切ないことは多いですが、読後は雲った空も晴れるようでした。

★★★ Excellent!!!

心身に傷を刻んで生きざるをえない美しい少年と、彼に魅了される人間たちのドラマと言うと、語弊を招くでしょうか。
ありふれた言葉では表現できない美しさと恐ろしさと深さが、あります。
現代社会が見て見ぬ振りをするであろう痛みを、精緻な文体で暴く名著です。

★★★ Excellent!!!

あらすじを読んで、どろどろの昼ドラ展開かと思いましたが、そんなことはありません。どちらかというと、ヒューマンドラマに近い印象を受けました。
「恋」とはなにか、「愛」とはなにか、三者三様それぞれの悩みが書かれています。出会えてよかったと思える、素敵な作品でした。

★★★ Excellent!!!

どうしても周りを惑わせてしまう美しい少年。

本能を揺さぶられたと言い訳をして周りは彼を好き勝手に弄びます。

そんな中一人の男性と出会い、大切にされる事で特別な感情というものを持ち始め…。

いじめが生み出す闇、凌辱による被害者の苦悩、現実世界の辛辣さがリアルに描かれています。

そして心の強さを徐々に得る主人公の姿が苦しくも愛おしい。

不条理な世界に生きる苦しみに貴方は耐えられますか?

ダークなお話が好きな人におススメです。