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探し始めて三日ほどたち、私は幽霊としてある程度の空間を浮遊できることを覚えた。初日はバタバタと歩き二人を探していたが、大学内で出会った数人の幽霊が「あなたなんで歩いているの?」と尋ねられ、まさかと手を水平に伸ばしてジャンプしてみたら鳥のように飛べた。飛べたことに感動し、二日目は少しは探していたものの浮遊する練習という名の“浮遊遊覧”を楽しんでいた。

 

そして三日目。空から探していると、講義棟の外で話し倒している二人の女性を発見した。そのうちの一人はあの海で話していた女性だった。

 

「みつけたー!」と叫び二人の近くに飛び降りた。そして近づくと何やら深刻そうな趣で話し込んでいた。その二人が何を話しているかはすぐにわかった。

 

二人で、恋の悩みを相談していた。女子力満載の話とはまさにこのことだと、おばさんなりに温かい目で見つめ聞き入っていた。

 

私が知っている女性は、やはり別れた屑男の話をしている。そして一方の女性はサークル内の片思いの男性についてを話している。

 

どちらも、未練を抱えている様子だった。

 

え???サークルの方はわかるけど、あの屑に未練を抱える理由は???

 

生きていたら、聞き入っていただろう。だが、よくよく聞いてみると「ダメな男を好きになる女性」であることがわかった。そしてもう一方は「彼女がいる男性」を好きになってしまう女性」であることがわかった。





 

おばさんは。生前までの人生経験からこの結論を見出した。そしておばさんは二人が真剣に悩んでいることに“感情移入してしまった”ことで、二人の最善の選択を手助けしたいと思ってしまった。

 




結果として、モヤモヤどころか後悔をすることとなった。

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