エピローグ
第103話 エピローグ
全てが終わって、俺は
「人が倒れておるのに、その
ふてくされる千さんが口を開いている。
先ほど鬼に胸を
「ふざけているのは千さんの
そう口を開いたのはまくらさんだ。
まくらさんは俺が鬼と戦っている間に、一応は
その
「……そんな大怪我で病院に行かなくて大丈夫なんですか?」
俺が心配すると、まくらさんはニコリと笑う。
「これぐらいの傷は自力で治します」
「……まくらは馬鹿じゃからのぅ。瑠衣のご馳走を食べられるように無理しておるのじゃ。心配せずとも、妾がまくらの分も食べてやるというのに」
ニヤリと笑う千さんに、まくらさんはバツが悪そうに眉を寄せる。
意外なことに、あれだけ怪我人がいて、死傷者は誰も出していなかったらしい。
……それは素敵なことだと思うが、まくらさんの立場であれば、いろいろとするべき後始末もあったハズだ。そんなまくらさんは、その全てを他の
まくらさんはやっぱり親馬鹿で、
俺の感想をよそに、東雲が申し訳なさそうに千さんを見上げていた。
「……千さんは、人間に戻りたいとは思わないんですか?」
俺の【
しかし、千さんは迷わず答える。
「鬼の体は慣れれば便利じゃからなぁ? 身体能力も治癒能力も人間であったころとは比べ物にならぬし、
確かに、鬼の体は恐ろしく丈夫で、割り切ってしまえば便利かも知れない。
「まぁ、ひとつだけ鬼にも
「その不便な点って何なんですか?」
俺の素直な疑問に、千さんはまたニヤリと笑う。
「鬼の体では、
「ふ、ふざけないでくださいっ!!」
東雲が顔を真っ赤にして怒っていて、俺もそれを見て恥ずかしい。
それにしても、こうやって四人で無事に帰れているのが、嘘のように思えた。
俺たちがこうしていられるのは、みんなが俺を助けてくれたからだ。
俺はここにいる三人だけじゃなくて、瑠衣にも、はずきにも、母さんにも助けられた。俺は誰かを助けたいと思い続けた一方で、結局のところ、みんなに助けられてばかりだった。でも、意外と世界は単純で、そういったモノが巡り巡って人を幸せにするのだろうか。
視えないものが、そのままこの世に存在しないことと同義ではないように。
それらは目に視えないだけで、ありふれたことなのかも知れない。
「ただいま!」
「お帰り!」
まくらさんの家の玄関では、瑠衣が待ってくれていた。
「冷めないうちに、みんなで食べるよ!」
こうして、俺たちの楽しい夕食が始まった。
おわり
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