物語が好きなのです。

 童話も好きだし、神話も好きだし、宮沢賢治も好きです。

 でも、沢山読んでいるかといえば、そうでもないです。

 世の中には知らない本がいっぱい。

 ひねくれものなので、世間で話題になったものは興味が薄いことが多いです。

 あくまで自分の目で気になったものだけ。

 ついでに映画化したり実写化したりしたものは原作を読んだりはしません。

 だって映画観たほうが楽だもん。

 わたしは映像にしようのない、心理描写の巧みなやつが好きなのです。


 沢山の物語を読むよりも、気に入ったものを何度も何度も読み直す性分です。

 色褪せた文庫本に興奮を覚えます。

 日焼けとか、手垢とか、その本の歴史が目に見えるようで。

 匂い嗅いじゃう。

 気に入った作品があるとそれを何度も何度も、全文暗記できそうなほど繰り返し読み込んで、次に同じ作者の作品を読み漁ります。

 物語を読み込んでいくと、その向こう側に、作者が見える。

 どんな人かな、きっとこんな人なんだろうな。

 そういうのが透けて見える瞬間が好き。

 物語を通してそのつくった人に恋をするのです。

 そういう楽しみ方をしてしまう。

 これは多分ね、小説じゃないと出来ない楽しみ方だと思うんだ。

 メディアミックスをすると、いろんな人がその作品に携わるからね。

 その人だけの、その人だからこその魅力を、透かして捉える。

 興奮する。

 だから物語が好き。

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