Last phase-6
夜、18:30。
防衛省付近のこの通りは、辺りはすでに暗いが、外灯やビルの灯りで明るい。
しかし、雰囲気は普段とは違い、重苦しかった。
現在この通りは警察によって封鎖され、何人もの機動隊が横陣を組み、並んでいる。
通りに面したビルからは観測役の部隊員が配備され、テロに備えているような警備がなされている。
防衛省内部にも念のために特殊部隊SATが配備され、万全の態勢が敷かれていた。
「隊長! 隊員の配備、完了しました!」
「わかった。警戒態勢を維持しろ」
「はっ!」
気合のこもった声を発して走り去る部隊員を尻目に、隊長と呼ばれた男は自身に送られた指令所に再び目を通す。
指令所には、以下の指令が出ていた。
暴力団『八条会』が、武器を伴って防衛省へ向かっている。直ちに迎撃準備されたし。
穏健派で知られる組織の、唐突な行動に最初は大慌てだったが、すぐさま隊列を敷くよう部隊を整えた。
シールドと防弾チョッキ。
そして迎撃用のスモークグレネードを装填したグレネードランチャー。
ここまでの装備を整えて、今、ここに向かっているであろう連中を待つ。
できれば、誤情報であってほしい。
そう願いながらも、迎え撃つ覚悟の隊員たちの顔は、皆緊張した面持ちだった。
その時だった。
「! 来ました!」
「! 全体、構え!」
隊長の号令の下、部隊員全員が身構える。
シールドを構えた横陣は、まさに現代のファランクスそのものだろう。
そんな彼らの眼前に、それは現れた。
大型の、3台のトラック。
荷台に何も記載されていない、所属不明のトラックだが、おそらくあれこそが敵であろうことは、その場にいた隊員の全員が無意識的に理解できた。
まさか、あれが突っ込んでくるのだろうか。
そんな絶望的な思考さえ生じるが、それは裏切られることになる。
3台のトラックが、停車したのだ。
それも、横一列になって一斉に、である。
「……?」
横陣を組む最前列の隊員達に疑問符が浮かぶ。
「……何のつもりだ?」
隊長が、思わずつぶやく。
その時だった。
トラックの荷台が、開いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます