第124話【遭遇 黒髪美少女vs黒髪美少女】
「......。」
「ねぇ間宮健人。あなたもそろそろ私と一緒に演技の練習をしていくべきだと思うのだけれど。どうかしら?」
「......。」
「うん。絶対にした方がいいわね。だって私たちはずぶの素人。ちゃんとした一流のプロの指導の元でしっかりと学ぶべきだわ。だから今日からあなたも一緒に特訓よ。決定。」
「......。」
「って、ちょっと間宮健人。ねぇ聞いているの?さっきから黙ってどうしたのよ。ねぇ?」
「......。」
いや渋谷さん。
ちょっとさっきからべたべたとしすぎな様な気が.....
周りからの視線が痛いんだけど......。
というか、よくよく考えたらこの渋谷さんと俺が二人で下校している光景。
周りからは一体どう見えているのだろうか........。
正直、恥ずかしい......。
恥ずかしくなってきた.......。
「ち、ちょっと近すぎないか.....?距離。」
「い、いや、ほら、私たちドラマでもペア役なんだし日頃から慣れておくべきだわ。そうよ。パ、パートナー役なんだから。当たり前じゃない!」
あ、当たり前?
って、何で俺が怒られている......。
それにしても....はぁ。ドラマ。
本当に俺が彼女と.....。
「ねぇ、わ、私はこういう場合は腕を組んだ方が良いかと思うのだけど。ど、どうかしら。」
「......。」
って、嘘だろ......。
「ねぇ! 聞いてるの? というか、どこを見ているのよ! って......」
「......」
マジだったのか......?
何でこんなところに.......
「ふふっ、久しぶり。けんちゃん」
まさかの本物......
大人気アイドル柊沙織。
本当に何でこんなところにいる......
「あ、あなたが何でこんなところに!」
「へぇー、あなたが渋谷さん。一応は初めましてね。」
え、何これ。
いきなり何か空気感が......
「ところでケンちゃん。今日はあなたに用があってここまで来たの。ちょっと今からいい?」
「ケ、ケンちゃん!? 何であなたが間宮健人のことをそんな!?」
「ふふっ、何? 別に何もおかしくはないと思うけどな。私たちこういう関係だし。ね! けんちゃん!」
「な!?」
は?
気がつけば俺の腕に自らの腕を絡ませ身体をこれでもかと何故か密着させてくる柊沙織。
「は!? ど、どういうことよ。どういうことよ。間宮健人。」
いやいや、は?
い、いきなり何を。こっちがどういうことだよ!?
こ、こういう関係?
「ふふっ、見てわからないのかな?ねぇ、けんちゃん。」
「い、いやちょ、柊さん?一体何を。べ、別に俺達は何も......」
「ちょっと何しているの!離れなさい!」
「何で? 渋谷さん。あなたには関係ないじゃない。」
い、いや、真剣にこれはまずいって。
変装しているとは言えただでさえほとんどバレているのに、こんなのもし写真でも撮られたらまずいんじゃないか? うん。普通にまずいだろ。
ってか、そもそも何をしているんだよ。
「ひ、柊さん。とりあえず一旦離れましょう。もし撮られでもしたらやばいですって。ア、アイドルが一体何をしているんですか。」
本当に何をしているんだ。
こ、こんな学校の校門で何をふざけて........
「ふふっ、もし撮られたらその時はケンちゃんに責任とってもらうから大丈夫だよ。お願いしますね。」
へ? せ、責任?
ど、どういうことだ......。
って、ま、また何でさらにそんな密着を......
さ、さっきから意識しない様にと何度も思うが、か、完全に当たってしまっている......気が。
「な! あなた本当に何を言っているの。てか責任って何よ!それにあなた本当にアイドルが一体何をしているのよ!」
「ふふっ、私もアイドルの前に一人の女です。」
あ、アイドルの前に1人の女?
そ、そんなに俺の目をじっと見つめながら一体何を言って.....
「くっ......どっちにしろあなたにはこのまま帰ってもらうわ!私はこれから間宮健人と演技の特訓なんだから!」
い、いやその件に関してはまだ何の返事もしていなんだけど.....。
「ふふっ、その必要はないですよ。あなたは自分の特訓に集中してください。ケンちゃんは私が付きっきりでみっちりとドラマに向けて指導しますから。あなたには渋々色々と譲ってあげたんですから、そのぐらいの権利は私にあるはずですよ。ね!けんちゃん。」
って、また、あ、当たってる.......
あ、当たっている.......
「は、はい......。」
「な!? 何よ!間宮健人!何が『はい』よ! 」
って、え? あれ?
俺は一体何を。か、勝手に口が、え?
「あ、あなた!癒し系で売っている癖に本当はとんでもない女じゃないの!」
「ん?ふふっ、強引に人のパートナーを奪った女の子が言うセリフかしら?」
「な、奪ったって何よ、そもそも間宮健人のパートナーは私しか務まらないわ!これは運命なの!そう運命よ!」
「はい?そんなわけないじゃないですか。ケンちゃんの本来の運命のパートナーは私ですよ。あなたは強引に親の権力を使っただけじゃない!」
は、え、おい?
ま、マジで校門で何を騒いでいる。
一体何を........
完全にもう注目を浴びてしまっているじゃないか。
柊さんはほんと只でさえバレかけているっていうのに。
幸い相手が俺だから周りは皆まだ首をかしげるぐらいでとどまっているみたいだけど、このままずっとここにいたらやばいぞ。いや真剣に。
「お、おいちょっと。よくわからないけど一旦場所を変えよう。ここは色々まずいって。」
そもそも何でこんなことに.....。
「 そうですね。じゃあ行きましょうか。けんちゃん!」
「は? 間宮健人は私と行くのよ。ほら行きましょ。健人。」
って、渋谷さんまで腕に!?
「ほら、けんちゃん。私の方がいいわよね?」
「な!私だって!」
な、り、両方から。
こ、これは.......。
「..........。」
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