第96話【転機】
今日は色々とありすぎてもう何が何だかわからなかった。でもわかったことが一つだけある。
やっぱり俺ってかっこいいのか........。
自分では今だに実感はわかないけれど、あの女性たちの反応やSNSでの出来事。
どう考えても、もうこれはそういうことだろう。
そんなことを考えながら、俺はお風呂上がりに自分の部屋の鏡とさっきからにらめっこをしている
「........。」
それに今までの山本達とのことだって思い返せば.......確かに
辻褄があう気がする。
今もtwitterのフォロワー数がリアルタイムでどんどんと増えていく。
そうか.......この感じの俺は。
眼鏡を片手にまだ乾ききっていない髪をかき上げながら、俺は鏡に映る自分の顔を尚も凝視する。
そうか........。
俺は俺だから別に同じだろうと思っていたが、学校に通っている姿の俺と、今この鏡に映る姿の俺は確かに雰囲気が変わるのかもしれない。
こんな状況になって改めて自分のことを見つめなおしてみると、不思議とそう思えてしまう。
そして俺は、後でいつもの自分と改めて見比べる為に鏡に映る自分をスマホで何度も撮ってみたりもする。いつもの俺ならこんな自撮りなんてことは絶対しない。
やはり今の俺は色んな意味でテンションがおかしいのかもしれない。
って......あ、ミキ。
気がつけばそんな俺のスマホには幼馴染でトップアイドルのミキから電話。
「..........。」
あの件でだろうが、ちょうどいい機会だし彼女にも聞いてみるか。
『どうしたミキ』
『どうしたもこうしたもないわよ! あんた何で急にあんなtwitterなんて.....ってな、なによその恰好!』
『あぁ、すまん。風呂上りでな。』
『は、裸.....ケ、ケントの裸』
『で、何だよ。』
何をそんなに取り乱している。
別にフルチンってわけでもないだろ。ちゃんとズボンははいている。
『あ、ああ、そう。そうよ!私が聞きたかったのは何でtwitterなんかをケントが急に始めたのかってこと。らしくないじゃない!」
そして何で怒っている。
まぁらしくないことは自分でもわかっているが。
『ああ。ちょっと実験でな。』
『実験?』
あぁ、実験だ。
『そう。なぁミキ。その......俺ってかっこいいいのかな。』
『な、なによ。急にその質問は!」
まぁそうなるよな。でも今は答えが欲しい。
だから俺の口からは自然にその言葉が漏れ出てしまっていた。
『なぁ、真剣にミキから見て俺ってどうなんだろうか。嘘偽りなく答えて欲しい。』
そう言って俺は画面の中にいるミキに真剣なまなざしを向ける。
とにかく彼女からの答えが欲しい。
『な、あ、急に、急に何なのよ。いったいどうしたのよケント。』
本当に自分でもそう思う。でも
『大事なことなんだ。教えてくれ。ミキ』
俺はそういってさらにミキの瞳をみつめる。
『か、かっこいいわよ。かっこいい。ケントはすっごくかっこいいわ。む、昔から言ってるじゃない。ずっと昔から』
すると画面の中の彼女は恥ずかしそうに俺に向かってそう答えを返してくれた。
『そうか。ありがとう........』
そうだった。確かにそうだったなミキは。
「.........。」
って、俺は一体何をしている.......。
冷静に考えると幼馴染とは言え、現役のトップアイドルにむかってすごいことをしてしまっているな。
とりあえず急に恥ずかしくなってきた俺はすぐにスマホのビデオ通話の画面を切る。
すぐに彼女からの折り返しがあるも無視だ。恥ずかしすぎる。
やっぱり今の俺は色々とテンションがおかしくなってしまっている。
「でも、そうか........。」
芸能界というイケメンが多い世界で生きているミキが言っているんだ。
やはりそういうことなんだろう。
「.........。」
もうすぐ夏休みも終わりだし、ちょっと色々と考えてみようか。
今後の自分の在り方について。
あと、今日の外国人は本当になんだったんだろうか。
とりあえずもう二度とあいたくないな。
「うん。」
でも、もしかしたら学校が楽しくなるかもしれない。
もしかしたらだけど.........
今後の俺しだいではな........。
とりあえず今が最低辺だ。これ以上の下はないだろう。
だから
「ちょっと........やってみるか。」
でもそう考えれば、やっぱりもしかして彼女達って俺の事を........。
いや、でもさすがに、いや、でも今までのことを考えてみると、それにさっきのミキだってもしかして、いや彼女はトップアイドルそんなわけは、でも柊さんだって俺の事を何故かよく........
「.........。」
とりあえず寝ようか。
「.......。」
駄目だ。寝れない.......。
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