第83話【夏休み 乱戦の兆し】
「ほ、ほ、ほんとにあのミキちゃんネ! ヤバイね。まじ半端ないネ!」
「わー! わたしもこのコしってますよ!すごい。またテレビのひとデス!」
「........。」
お、おいリンリン。な、何を勝手に.......。
「ご、ごめんだヨ、ケント。そんな怖い顔しないでヨ。つ、ついどうしても気になって......。全然着信が鳴りやまなかったシ.......。」
そう。リンリンが勝手に俺のスマホの画面をスワイプしやがった......。
よくわからないけど、まじで嫌な予感しかしなかったから放置してたのに.....。
「ちょ.......ケ、ケント。だ、だれよ。その娘たちは。」
「あ、アリスです!」
「あ、り、リンリンです。」
「........ど、どうも。で、誰よこの娘たちは。」
いや、今ちょうど自己紹介があっただろ......。
とりあえず今、俺のスマホには幼馴染でありトップアイドルの星野ミキが映っている光景。
「アリスとリンリンだけど.......。」
「いや、それは聞いたから。ケ、ケントとどんな関係かって聞いてんの!」
って、なんでいきなりそんなに機嫌が悪いんだよ......。
「いや、普通にバイトの同僚だけど。」
「バ、バイト........って、ど、あのドクマナルドのバイト?」
「あぁ、それ以外に何がある。」
「.........す、すごいわね。ドクマナルド」
「は?」
「って、そんなことはどうでもいいのよ。ってどうでもよくないけど、今は先にケントに聞かないといけないことがあるのよ。」
「な、何だ?」
さらにスマホの中の彼女の機嫌は悪くなったようだ。
まじで何だよ........。
「さっき、柊沙織とあんた話してなかった?」
「........。」
「ん、ひいらぎさおり? さっきのおんなのコでしたっけ?」
「さっきの女の子? ってことはやっぱり話してたのね。ケント。」
「........。」
「ちょっと何かいいなさいよ。ケント!って、あなた達もちょっとケントと近づきすぎじゃない? ほ、ほっぺたがくっつきそうじゃない!」
「.........た、確かに。ちょっと離れようかリンリンとアリス。」
確かに近すぎる......。
リンリンやアリスは毎回思うけど距離感がちょっと......外国人特有のあれかな。
「な、なんでヨ。わ、私は全然気にしてないケド。」
「わ、わたしもデス!」
え.........。
「な、け、ケント......ほんとにこの娘たち只のバイトの同僚なんだよね!ねぇケント!」
「あ、あぁそうだけど。」
ってか、アリスとリンリン。さらに近づいて.....な、何してる。
ほ、ほんとにほっぺが.......。
「ちょ、あ、あなた達離れなさい!」
「な、なんでネ。ミキちゃんには関係ないネ。っていうかケントとどういう関係ね。」
「な、わ、私はほら、その、ケントの幼馴染よ。」
「ふーん。私だって幼馴染ネ。」
「な、わ、私の方が幼馴染よ。ね、ケント!」
「ん? おさななじみってどういういみですか?」
「わ、わかったから一旦離れよかリンリンとアリス。それと幼馴染って言うのは昔からの知り合いって言う意味だ。アリス。」
「だ、誰が知り合いよ。ケント。知り合いじゃないでしょ。知り合いじゃ!」
「そうネ。知り合いじゃないネ!」
て、何で俺が攻められてんだよ。
「じゃあ、わたしはおさななじみじゃないデス........。」
そして隣には何故か落ち込んでいるアリスもいるし。
何だよこの状況。意味がわからない。
「ケント.......これは一体どういうことよ。」
いや、俺が聞きたいよ。どういうことだよミキ。
結局なんでミキは電話をしてきたんだよ。
「く.......ひ、柊さおり意外にも、こんな女の子たちまで......。そ、それにそう言えば前のパンケーキの女の子も。あ、あんた。私がいるにも関わらず何を.......ほんと、どこがぼっちよ.......。」
「そ、それはこっちのセリフでもあるネ。ケント。こんなアイドルたちと本当にどういうことネ。ま、まじで何ものネ。しかも前に黒髪でかなりクールな女も確かケント目当てに来てたナ。まじでどういうことネ。ケント。」
「え、ま、まだ他にも女の子がいるの? な、何よそれ!ちょ、いつの間にかいなくなったと思ったらほんとにあんたは何してるのよ!」
え、あ、な、なんでそんなにキレてるんだよ......ミキもリンリンも。
お、おかしいだろ。
さっきから何を意味わからないことを.......
って、アリスも何でそんな頬を膨らまして。
お、怒ってるのか.......。
な、なんだよ。まじで。
俺が何をしたっていうんだよ。
「ねぇケント!聞いてるの?」
「聞いてるのカ。ケント!」
「まみやくん!」
あぁ........まじで何だよ。
だからとりたくなかったんだよ。電話.......。
はぁ.........。
とりあえず俺はビデオ通話の画面を静かに切って、トイレにへと逃げ込むのであった。
「はぁ........。」
ほんと、今日はめちゃくちゃ疲れた.........。
まじで意味わからない。
ほんとに.......。
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次回は渋谷さんの回にしたいと思っています。
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