第47話【突然の電話】
はぁ、まじでどうしようか。
俺、どうなるんだよ。
って、ん?また電話........?
今度は誰だ?
俺のスマホに映っているのは知らない番号。
「......。」
も、もしかして嘘だろ。
もしそうなら、さすがにやばすぎないか......。
というか........しつこすぎるぞ。
何だこれ、まじで。
一向に俺のスマホの着信音は鳴りやまない。
嘘だろ.......。
あ........止まった。
って........え?
スマホが鳴りやんだと思ったら、今度は1階の家の電話が鳴り響く。
嘘だろ......もし本当ならこれは冗談ではすまされないぞ。
ここまでするのかよ。アイドルファン。
やばすぎるだろ。
って........また止まった。
今度は短かったな.......って何で家の番号まで。
まじでやばいぞ。これ。
「え、え、え、お、おにぃー」
すると1階からは唐突に妹の叫び声。
え.......どうした。
俺は急いで階段を駆け降りる。
やばい、やばい、やばい、やばい。
何があった、何があった。ほんと何があった。
「どうした!」
するとそこには驚いた顔で受話器を片手に持った妹。
「くそ、だ、誰からだ........。」
「お、おにぃ、ミ、ミキちゃんから電話だよ。ミキちゃんから!」
へ.......?
ミ、ミキちゃん?
ん?
とりあえず妹から静かに受話器を受け取る俺。
「はい。もしもし。」
「もしもし.........。どうも久しぶりね。」
すると俺の耳には知っている女性の声が聞こえてくる。
「あ、あぁ........久しぶり。」
「って、なんで繋がらないのよ!あんたlineのアカウント変えた?永久に既読はつかないし、しかも携帯の電話にもでないってどうなってんのよ!」
あぁ、この声と感じ。
間違いなくあのミキだ......。
100%
「いや.......変えたけど、教えてなかったけ?」
あと、もしそうならスマホごと変えたからミキの番号を登録するのも多分忘れてたな。これ。
「教えてもらってないわよ!普通は真っ先に私に教えるのが筋でしょうが!」
筋? いや、ってかそもそも俺の連絡先とかそこまでいるか? 忘れてたのは俺の方だけど.......。
今をときめくトップアイドル様が。
「ふぅ......。」
それにしても、とりあえず狂気的なアイドルファンからの電凹ではないことに俺はひとまず安心する。
「というか、あんた、大変なことになってるわね。」
ほんとそう。
「そ、そうなんだよ。俺やばいって。このままだとファンに殺されるぞ。」
まじでやばい。
「は? 殺される?」
「あぁ。9chとかに俺の盗伐依頼がでたりもうやばいんだよ。」
ほんとに何でこんなことに。
やばすぎるだろ.....。
「え、そっち?」
「え.......ん?」
そっちって?
ん? どっち? 他にも何かあんのか?
「フ、バカらしい。あんたそんなもん間に受けてんの? ふふ、あんな9chに書き込むような連中は別に何もしてこないわよ。今どきそんな物騒なことないって。そんなもんネットの中だけよ。ネットの中だけ。何ビビってんのよ。ふふ、じゃないと私たちアイドルなんてほんと何回殺されているか。それにあんたは一応一般人よ。ふふ、ないない。」
え......?
「で、でも、さっき俺のバイト先に人が押し寄せて、実際にやばいことになってるって。」
「はぁ......。あんたほんと何もわかってないわね。あんたおそらく実際に現場見てないんでしょ? 多分、別の方のやばいことよそれ。」
な、何がだよ。別の方のやばいことって何だよ。
確かに見てないけど。
結局やばいことはやばいんじゃないかよ。
あぁ.......どういうことだよ、まじで。
「とりあえず、あんたが心配するような物騒なことは起こらないから安心しなさい........ってそんなことはどうでもいいのよ。そんなことより、なんであんたが柊沙織と楽しそうに写真なんてとってんのよ!問題はそこよ ! 」
「え?」
「あんた、あの娘が私のライバルだって知ってるわよね!」
「え、まぁ。」
テレビ好きだし......。
って何でそんなに怒ってるんだよ。
「あんたぼっちとか言ってたくせに.......一緒に映ってた女の子二人も誰よあれ。」
「いや、あれは別の学校の子だよ多分。話したこともない。」
まぁ学校のほとんどの奴とも話したことはないけど。
「で、何であんな状況になってんのよ! たまたま? 普通アイドルはあんな一般人との写真。SNSにはあげないのよ。おかしいじゃない。」
それは俺も思ったよ。
初めはな......。
「あぁ.......あれはドッキリだよ。俺、ドッキリにかけられたんだよ。」
「は? ドッキリ? 何よそれ。 何チャンネル? 何の番組よ?」
「いや、結局わからないんだよ。ネタバラシとかも何もなかったし、俺の反応があまりにも面白くなかったからお蔵入りになったんだと思う.......。」
「はぁ?.......何よそれ。ちょっと意味わかんないんだけど。そもそもなら何でドッキリってわかんのよ。何の説明もなかったんでしょ。ほんと意味わかんないんだけど。ってかドッキリって思うってことは他にも何かあったの?」
いや、俺も意味はわかんないんだけど。
でも、あの状況は誰がどう考えてもドッキリ以外はないだろ。
「いや、だって普通、この俺が柊さんの事務所の社長に直々にスカウトされて、しかも彼女からプライベートアドレス教えてもらうなんて絶対にありえないだろ.......。絶対ドッキリだろ。これ。」
「は、はぁ!?」
う、うるさい。
急に声でかくなりすぎだろ。
「あ、あんた、そのアドレスどうしたのよ。も、もしかして連絡とったりしてないでしょうね!」
え、そこ?
というか連絡とるわけないだろ......。
こんなもんドッキリ用のダミーに決まってるし、そうでなくても恐ろしすぎて無理だわ。
「とりあえず、そのアドレスはすぐに捨てなさい。すぐに!」
だからなんでそんな怒ってんだよ。
「言われなくても捨てたよ......。」
「そう。さすがケント.......って捨ててないでしょ!」
な、なんでわかった。
一応芸能人からもらったものだから、どうこうするわけではないが記念品として残している。
「あんたのことなら何でもわかるんだから!.......ほんと私という幼馴染のスーパーアイドルがいながら何よもう!」
自分で言うなよ......。
まぁ、ほんとにそうだけど。
「っていうか、あ、あんたもしかしてスカウトに......」
「いや.......のるわけないだろ。」
どう考えても俺には無理だろ.......。それにあれドッキリだって。
「そ、そう。な、ならいいけど。も、もしあんたが芸能人になっちゃたら.......。」
あぁ、間違いなく売れないだろうな。
そんなもん俺が一番よくわかってる。
確実に身の破滅しか待っていないだろう。
「と、とりあえず、芸能界は怖いところなんだからケントには無理よ。わかったわね!」
だから言われなくてもそんな気はないし、どう考えても無理だし、ほんとこれはドッキリだったって言ってるじゃないか......。
「当たり前だろ。ならないよ。」
ってかほんとなれねぇよ.......。
「じゃあ、もう次の仕事はじまるから切るけど、絶対に柊沙織の連絡先は捨てるのよ! た、多分、あんたは騙されてるわ。うん。きっとそう。ってか絶対そう。だからほんとにちゃんと捨てておくのよ!」
そして、彼女からの電話は切れた。
あぁ、騙されてるよ.....。
だからドッキリなんだろうが。
というか.......とりあえず彼女の話を聞く限り、よくわからないけど確かに大丈夫そうかもな。
確かに俺........普通に一般人だし。
なんと言っても俺だしな。
平凡以下のぼっち......確かにないな。
まぁ、とりあえず今日は家でゆっくりとしておくか。
でも。ほんとドクマナルドではじゃあ何があったんだ?
まぁ、大丈夫ならいいか。
寝よ.......。
はぁ......。
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