エルゼビュートの牢

幕章

現世が紅色に沈む黄昏時、村は燃える。


狼煙の様な黒煙が街を覆った。


村男達の死体の山に油をまき火を放つ正義の殻を被った悪魔達。


女、子供関係なく斬り、撃ち、燃やした。


甲高々く笑い声を上げる男。


血の生臭さと硝煙の匂いだけが立ち込める。足元には昨日まで笑顔を見せてくれた友人の亡骸だけが転がっていた。


ポツポツ と降り出した雨は血液を滲ませ、掻き消してゆく。



お母さんは私に暖かく笑い掛ける。


「───生きて」。


そう告げた次の瞬間、娘を置いて母は炎の中に消えていく。



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腐り掛けが一番美味い(強い)んです。 スパニッシュオクラ @4510471kou

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