シーズ・ザ・ロックンロール・バンド

作者 @naka-motoo

心の爆弾

  • ★★★ Excellent!!!

世界一のロックンロールバンドをつくる。
その夢を抱いた音楽プロデューサーカナエは自らの経験を基に、一人一人最高のメンバーを集める。結成されたのは「A-KIREI」。もちろん世界一のロックンロールバンドなのだから、そんじゃそこらの活動とは違って……?

本作、とても見どころの多い物語です。
まずヒロインの造形がよい。かわいい! 紫華という女の子が主人公なのですが、14歳とは思えないくらいのパワー、そしていろっぽさ! 男女ともに、その内包する魅力で惹きつける(もちろん読者のあなたも惹きつけられる!)すばらしいヒロインです。健康的な色気がなんともいえません。
そして「世界一のロックンロールバンド」に選ばれたメンバーがものすごく濃いのです。本人たちのキャラクター自体も達観した感じで好きなのですが、その背景にある境遇がとにかく凄惨。愛する人を失い、友人を失い、身体の一部分を失い、そして心を傷つけられた仲間たち。全員の凄惨なエピソードには思わず唾を呑みます。だけど同時に、そんな彼ら彼女らがいったいなにをやってくれるのか!? というドキドキも止まりません。
さらにその凄惨なエピソードに対して、多角的な分析を講じているのがとてもいい。わたし、タイトル「FOUR・VACATION」の「死人を悼む男」というエピソードがすごく好きなんです。ただ単に悪を捌くだけじゃない。このエピソードに込められた深い愛とこの世の哀しさに涙が出てきました。多角的なんです。その上で筆者は、断じるところはきっちりと断じている。だから本音。だから心地よいのかもしれません。

そして本作の見どころの締めとしては、やはり「熱さ」を挙げたいと思います。作中にエレファントカシマシというバンドの話が出てくるのですが、まさにこのバンドのように熱く熱く燃えて燃えて燃えまくっているのです。本作は筆者の作風そのままに書かれているのですが、熱い部分がたくさん出てきて「おおっ!」とびっくりしました。筆者のnaka-motooさんは、飄々とした文章の奥にこんな熱量を隠しているのか! と。いや、隠していることは知っていたのですが、それを文章に出してくれるとは思いませんでした。

歌詞です。
歌詞をご覧になって下さい。

心の爆弾が破裂するその二分前、あなたはこの小説に足を踏み入れることでしょう。

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