第37話 さらさら
今までは、喜びの中にあった発光。背徳感をもっての発光は、太一にとって今回が初めてだった。太一は恐る恐る、ゲロまみれになっているであろうアイリスに目をやる。しかしどうだろう。全くゲロがない。その代わりにあるのは、粘液質な涎にまみれて太一を見つめるアイリスだった。顔を赤らめ瞳を大きく潤ませている。一瞬のあと、太一はあゆみの言葉を思い出す。
(とっても、気持ちイイー! ってなったの……。)
それを聞いたときは、大声を上げてしまった太一だったが、自分の発する光を浴びて、気持ちイイー! となるような存在があれば嬉しいと思わないことはない。
(もしかしたら、アイリスも気持ちイイー! ってなったんだろうか?)
太一は恐る恐る、だがはっきりとアイリスを見つめる。アイリスがこんなに近くにいる男性と目を合わせたのはいつ以来だろう。アイリスが見つめたところで大抵の男性は顔よりも少し下、おっぱいが作る谷間を向いているのだから。
「いっ、今の、何?」
「……。俺、発光体質なんだ……。」
「発光体質? 聞いたことない……。」
「自分でも、よく分からないんだ」
「ねぇ、お願い。もう1度、光って!」
どうやら、アイリスは気持ちイイー! ってなったようだ。それはかなり強烈で、やみつきになるほどのようだ。だが、太一の身体が再び発光することはなかった。摩ったり突いたり押し当てたり、アイリスが太一の身体をどんなに刺激しても、太一の反応は全世界の普通の男子高校生のそれと全く同じだった。
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