世奇物語2022夏 レビュー

 お久しぶりです。

 先日世にも奇妙な物語、2022年夏の特別編が放送されていましたね。観た人も観なかった人も、ここで一緒にレビューしましょー!

 ちなみにネタバレ含みますのでご了承ください。


1 オトドケモノ ★★★★☆

 主人公のタクヤはあるとき、注文すると2秒で物が届くというアプリを見つける。面白がって使っていくうちに、どうやら頼めるものと頼めないものがあることに気づく。そしてを頼むと、「所有物であれば」タダ、そうでない場合はその人の生涯年収に相当する額を払う必要があり、無理やり注文しようとすると、「支払い能力を超えています」と表示され、注文することができない。たとえば、タクヤが妻のユカリを頼むと、一瞬で自分のところにユカリが来る、しかも無料。夫婦である二人はこれを頻繁に利用するようになった。

 ある時、タクヤとユカリが同時にお互いを注文すると、謎の空間に二人とも飛ばされ、出れなくなる。出る方法として、友達に自分を注文させようとするが、所有物でない友人が自分を注文すると、生涯年収がかかってしまい、呼び出させることができない。

 そこでタクヤがある方法を思いつく。一旦ユカリと離婚し、別の女性と結婚し、別の女性に自分を呼び出してもらう。それからユカリと再婚し、ユカリを呼び出す。しかし、なかなかタクヤと結婚してくれる人は見つからない。ある時タクヤがユカリの元へいくと、なんとユカリが同じ方法で謎の空間を既に脱出していた。しかも、タクヤを呼び出すつもりはなく、お金持ちの爺さんと結婚していた。愕然とするタクヤはいつもオトドケモノを届けてくれた謎の美女に聞く、出られる方法がないかと。そこで驚きの方法を聞く。

 それは自分がオトドケをする側になるということだった。

 時は流れ、ユカリは金持ちの爺さんと幸せな日々を送っていた。そんな中、例のアプリでとある絵を注文すると、それを届けに来たのは、見たことのある男性だった。(了)


 Uber eatsや出前館。今やアプリでなんでも届く時代になりました。そこに、ドラえもん風の何でも感を出してきたところが面白かったですね、現代版の小槌とでもいいましょうか、今の時代を反映しているように思われます。シンプルなストーリー展開であれば、昔見たお話では、「穴」というものがあります。


「穴(仮名)」

 ある日、主人公が穴を見つけてそこに石を落とします。石はどこまでも落ちていって、地面に着く音がしません。それからたくさんのものをその後も穴に落としてみましたが、いくら落としても底につく音がしないのです。その噂を聞きつけた他の村人たちが面白がって、その穴にたくさんのものを落としていきました。やがて、ゴミや産業廃棄物、危険な物も全部そこに入れるようになり、穴はやがて村の便利な捌け口として使われるようになりました。

 ある日のことです。主人公が空を見上げると、何かが落ちてきます。それは最初に穴にいれた石ころだったのです。(お話ここまで)


 最初はこれに似た展開かな、と思いました。例えば「ただで物が届く」アプリ、そしていっぱい頼んだあと、最後に一気にお金を請求される。もしくは命で払わされる、もしくはその「物」と等価(価値が等しいもの)を意図せずに消費させられるアプリ、気づけば大切な人が自分から離れていっていた、といったお話かな、と。最後のストーリーはドラえもんの「断ち物がんかけ神社」ですね。


「断ち物がんかけ神社(あらすじ)」

 何か自分が我慢をしてもいいものを紙に書いて、それを神社の機械に入れて願う。その願いにみあった断ち物(我慢するもの)であれば、願いが叶う、というもの。ジュース、ケーキ、しずかちゃん、など色々紙には書いてみたものの、のび太は結局悩んだまま家を出る。留守の部屋にママが入り、神社をちりばこと勘違いし、紙を全部入れてしまう。のびたの願い、ジャイアン、スネ夫に勝つという願いは叶ったが、それ以外のたくさんのものを失う事になった。(お話ここまで)

 

 個人的にはこのお話好きです。というのも、ドラえもんにしては珍しく現実的なんですよね。通常の秘密道具はノーリスク、ハイリターンが多いような気がしましたが、この道具はハイリスク、ハイリターン。しかもまず「断つ」から出発することが現実にもつながる点だと思いました。進撃の巨人に出てくるアルミンが言ってましたよね、


「何かを変えることのできる人間がいるとしたら、その人はきっと大事なものを捨てることができる人だ」


 本当にそう思います。

 それはさておき、このお話の大きな転換点は、お互いがお互いを注文し、異空間に飛ばされてしまうところにあります。問題点の提起ですね。それまではその世界のルール説明になります。個人的にはこの転換点までがちょっと間延びしたかな、と思いますが、後々のオチを持ってくるためにはどうしても必要だったのかもしれません。

(2022/06/22追記:須藤様にいただいたリンクから原作を読むと、実際は異空間に飛ばされて終わりのようですね。すると、そこまでが少し長めになってしまったのも頷けます。しかし今回のようにその後の展開がある場合は、異空間にいくまではもう少し省いても良かったのかも、と思いました😅)


 そして問題解決の提案、外の世界から自分を注文してもらう、ここで「所有物でない人からは生涯年収がかかる」という点が斬新でしたね、このルールのせいで友人からは呼び出してもらえません。そこで別の女性と結婚して所有物にしてもらう、という発想ですが、これであればなぜタクヤで、ユカリでないのか、という点が腑に落ちませんでした。結局タクヤより先にユカリが外に出てしまったわけですが。普通であれば良い役柄は自分がしたいと思うので、その点の意味づけが欲しかったです。

 そしてラストのオチ、オトドケする側に主人公がなる、というオチは斬新ではないものの、心地いいオチだったと思います。個人的にはせっかくだから、うまい展開を考えて、最後幸せに過ごしているユカリを何らかの形で、報復してやれたら、スカッと終わった気もします。(……で、どんな??)

 最後にタクヤがオオドケ人として現れる、というだけだと、ユカリからしたら、「残念ね、みっともない姿だわ。せいぜい頑張りな」くらいで終わると思うんです、だってそれを承知で見捨てた訳ですから。


 ——そうですね、タクヤがオトドケ人として現れることで、ユカリに多大なるダメージを与えるにはどうしたらいいのでしょうか。今ある大切なものを失うか、自分がしてしまった過ちを悔いさせるか。ユカリはお金第一主義でした。タクヤでなく、金持ち爺さんを選んだ理由もそうでした。となると、ユカリのセレブ生活が、実は金目当てでじいさんに近づいたことがばれる、という展開はどうでしょうか。それで一気に惨めな生活へ堕ちる。

 でもタクヤはオトドケ人ですから、具体的な言葉は喋りません。喋らなくてもいいんです、タクヤが来る事によって、ユカリの生活が一気に堕ちるような、何らかの展開があれば。


 ……あ、閃きましたよ! こんなのはどうでしょうか。

 タクヤが異空間でユカリに裏切られ、まるで投げやりな気持ちでオトドケ人になったように視聴者には見えました。でも実はそれは演技で、タクヤはずっとユカリへの報復を練っていました。その方法が、オトドケ人として、ユカリの元へ現れることでした。セレブ生活を送っているユカリはオトドケアプリを使う必要はありませんでした。しかし、ある時何らかの事情で、何気なくそのアプリを使ってみようと思った時、お届けに来たのはタクヤだったのです。そして、タクヤは兼ねてからの作戦を実行するのです。それはお届け人の帽子を被せると、その人はお届けを一生しないといけなくなる、(事前に伏線が必要ですが)というもの。さっとその帽子をゆかりに被せて、「ユカリ、これでまた一緒に過ごせるね」とニヤリと笑って終わり。いかがでしょうか?


 他には自分なら、「所有物はお金がかからない」というギミックを利用して、ある時タクヤがユカリを注文しようとしたら、とてつもない金額が現れる。おかしいなと思っていると、それがまたタダになる。その瞬間を見極めようとすると、その瞬間だけ浮気していることが分かる、とかでしょうか。


 みなさまは何か面白い展開は思いつきましたか?


 さて、そろそろ次のお話へ。

2 何だかんだ銀座 ★★★★☆

 お決まりのもしもシリーズですね

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