第74話 どう考えてもそのエルフは〇〇人 2

 大工・運命。

 かつて存在したエルフの勇者が名づけた建築業社。

 ここは家の総合プロフェッショナルで、あの家具屋・姫に卸す家具も一部製作している。


「いらっしゃいま」

「あー、おばちゃんですー」

「あらあらジュディスちゃん、ようこそいらっしゃい」


 ゼノ一行を出迎えた女性エルフは、どうやらジュディスの知り合いの様だ。


「それにしてもジュディスちゃんは、少し見ない間にキレイになっちゃって。まあー」


「そんな事言ったらおばちゃんだって、若いままじゃないですかー」


「ハハハハハ」

「アハハハハ」




「なあ。あれは素で言ってんのか?もしかして慣用句的なアレか?それともエルフジョークなのか?」


「1番か3番じゃないかな?エルフが若くて美人なのは当たり前だし」


「俺は3番だと思う」






「それで、ジュディスちゃん。今日は何の用だい?」


「今日は親方に相談があって、寄らさせてもらいましたー。今、親方は空いてますかー?」


「ああ、空いてるよ。丁度前の仕事が終わってしばらく経つんでね。そろそろ喝を入れようかと思ってた所さ。案内するから、着いておいでよ」


「はーい。それじゃ皆さん、おばちゃんに着いて行きましょー」




「なあ、ミラ。アタシ達、空気じゃね?」

「うん」

(ここに、話すら振ってもらえない。真の空気男が居ますよー?)

 そんな会話を交わしつつ、2人とオマケの1人はジュディス達の後ろを着いていく。


「アンター、ジュディスちゃんが出世して来てくれたよ!ダラダラしてないでさっさと出てきて挨拶しな!」


「何っ!?ワシ等の町内アイドル少女のジュディスちゃんだとぉ!!」


 立派で豪華な造りの建造物とは異なり実直そのものの屋内を、地揺れ(地震)でも起きたのかと思うほどの振動が襲う。


 ドンドンドンドンドンドンドンドン。


 地揺れを伴って奥から現れたのは、顔だけはありふれたエルフだった。

 だが身長はゆうに2メートルを超えていて、首を含めた頭部以外が筋肉の塊になった巨漢。

 上半身は裸で作業着ツナギを腰に巻いている。

 仕事か運動の最中だったのだろう、全身から汗をダラダラ流してタオルで拭っている。


 顔だけエルフで実はオーガなんじゃないかと冗談で言われている大工の棟梁。

 または親方と呼ばれている男ベンソンが走る振動が、建物を襲っていたのだ。


「アンタ!あれほど中では走るなって言ってるだろ!」


 ジュディスにおばちゃんと呼ばれた女性……パメラのローキックが、目にも止まらぬ速さでベンソンを襲う。


「かーちゃん俺が悪かったから、だから止めてくれ。痛いって」


「だったら!同じ事を!何度も!言わすんじゃ!ないよっ!」


 言葉を切る度に蹴りを放ちながら、パメラは夫を躾けていく。

 その間ジュディスはニコニコしながら懐かしいしですねーと言っているが。

 ゼノとミラは、ベンソンのエルフ離れした容姿に驚き硬直したまま呆然としていた。

 サリアだけは苦虫を噛み潰した様な表情をしていたが、誰も気付かなかった。


(あれで顔までゴツけりゃなー)


 ベンソンが首を堺に、上下で好みの真逆なので思うところがあった様だ。

 それに結婚しているので、最初から男としても見ていない。


(どっかに良い男はいねーもんかー)


 なんだかんだ言っても女を捨てていないサリアであった。




(^O^)/あとがき

 いつの間にやらランキングに日間が追加されていて、本作品もランキングしているようです。

 私が確認した時点で。


 総合では

 日間28位、週間29位、月間45位。


 異世界ファンタジーでは。

 日間20位、週間23位、月間31位。


 と、なっておりました。

 かなりの高評価に頭が下がる思いです。

 読者の皆さんには感謝しかありません。


 次話投稿は2019年10月以降で未定となっておりますが、なるべく早くの復帰を目指していこうと思います。


 今後とも生活魔法をよろしくお願いします。




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