第67話 5日目 3

 現在会議室では国王以下、国の重鎮達が集い魔人との戦争について話し合っている。

 ゼノは戦争には参加せずに後方待機なので、同じく後方待機のミラと城に充てがわれた部屋に居る。


 しばらくきて、ミラは用意が出来たからと外出。

 聖水を貯める設備が用意されたらしい。

 魔力回復のポーションを飲みながらか、飲ませられながら聖水を出していくのだろう。


 ゼノは協力してくれるエルフが集合したので。

 森に移動して生活魔法の亜空間に大量の土、腐葉土などを運び込んで貰っている。

 奥に増えたまま使っていなかった空白のスペースに、土を盛り虹色草の畑へと変えている。

 7色草の乾燥粉末や、その前身の水分を吸収してきただけあって。

 既に畑は100✕100メートルの、1ヘクタールにもなっている。

 それでもまだ空き地は残っている。


 増産のために返却されプランターで育て増やした虹色草は、10から12時間の不定期でその数を増やした。

 竹の様に、地中に伸ばした根から新たな株になる様だ。

 なので畑へと作り変えたあとは、エルフ達にプランターの虹色草を等間隔で植えてもらう。

 これで明日から朝夕2回に分けて、虹色草が大量に収穫可能になった。


 7色草の乾燥粉末でもかなりの薬効があったはずなので。

 虹色草なら乾燥粉末を傷に振りかけるだけで癒やしてしまうかもしれない。

 人数で劣るシュトロハーゲンは、死ぬ前に癒して戦い続けるゾンビ戦法か。

 ゲリラ作戦テロ行為と言われる、一撃離脱の奇襲しかないだろうとゼノは予測。


 どちらにせよ回復薬が不足してはならないので。

 夕方までの間、万能薬をのんで亜空間を広げながら畑仕事に従事した。

 万能薬も不足すると予想に容易いので、7色草も1株貰ってきて増やしていく。




 夕方になるとミラ、サリア、ジュディスが戻ってきたようだった。

 客人……国賓とその専属騎士に協力は頼んでも、過度に働かせるつもりはないらしい。

 今はまだ、なのかもしれないが。


 4人は食堂へと案内され、夕食となった。

 会議がまだ続いているのか、他でも忙しいのか。

 食堂には背達4人以外は使用人の姿しか見られない。

 マナーを維持しつつ、それぞれの今日の話しを聞く。


「俺はあの後、森に行き。彼等と協力して亜空間に虹色草の畑を作ったが。みんなはどうだったんだ?」


「私はずっと、急造らしき貯水タンクに聖水を注いでいました」


 ゼノは対面に座っていたミラに視線を向けると、聖水出すマシーンでしたと一言で終わらせた。

 ゼノの隣には護衛のためにジュディスが座り、ジュディスの対面ミラの隣にはサリアが座っている。


「アタシ等はあのまま会議を続けてな。魔人の予想されるパターンとその対策を検討。あとは情報が集まったら、その時決めるって事で解散したんだよ」


 ジュディスが何も言わないので、特筆して追加する話しもないのだろう。

 ただジュディスの頬が頬袋みたいになっていたので、何も話せない状態のだけかもしれなかった。


 その後は戦争について各自意見を述べたり、魔人がどんな戦略を取るかの予想について話し合った。

 ただジュディスだけが、話すより食べる事に集中していたのは誰の目から見ても明らかだった。


「ずっと病人食でしたからねー。ここ最近は何を食べても美味しいから、これは仕方ない事なんですー」


 仕方のない事らしい。

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