第45話 12日目 2
予想以上に時間を使ってしまった。
理由は帰り道でゼノが多数の犬猫に絡まれ、攻撃を受けたからだ。
走れば犬猫の両方に追いつかれ。
多少上がった身体能力で塀等に登っても、猫に追われた。
通りすがりの陸奥二郎さん風のお爺さんになすりつけて、亜空間へ逃げる事で漸く難を逃れた。
外の様子を伺ってみると、驚愕の事態が起こっていた。
なんとお爺さんが魔道具で変身して、重装全身金属鎧姿になっていた。
(そこは、よーしよしよしって撫でるんじゃないの!?)
自分で擦りつけておいて、身勝手なツッコミである。
お爺さんは一通り犬猫から攻撃を受けた後、やって来た警察官に敬礼されていた。
それを見たゼノは予想外の大物かも、そんな人物になんて粗相をと怯え。ふたつの道を考えた。
ひとつはこのまま。
もう会う事もないし。最悪、車が納車されたら他の街に逃げてもいい。
もうひとつは亜空間から出て、土下座で謝罪する。
こちらは最悪。目をつけられたり、多大な賠償を要求されるかもしれない。
ゼノは迷わす隠れて逃げる事を選んだ。
掃除したゴミがどこかの組織の下っ端だったら、狙われて危ないかもしれない。
調度そんな理由付けも出来たので助かった。
犬猫騒動でミラ達と
大熊を売った金を貰ってから、納車された車を取りに行く。
「見て下さいゼノさん、これが私達の選んだ。水陸両用型飛行車両。その名もサンカイオーです!」
「幾らした?」
「このサンカイオーの凄い所はだな」
「幾らした?」
「いえ、このサンカイオーは値段以上の性能が保証されていまして」
「追い出すよ?」
「1億3千万イエンです」
「支払いは?」
「足りなかったから。な、7色草の葉を1枚売って。な?」
「直ぐに車に乗り込め、サリアは運転。急いで別の国に逃げるぞ」
「はっ、はい!」
「おう!」
その頃、同じ街の某研究所では。
「この7色に光る薬草を売った者を、何としても捕獲してこい。手足が全て無くなっていても、生きて話しが出来れば構わん」
「はっ!」
何て一幕があったとか、なかったとか。
短期的にはあの場でミラとサリアの前から消えても良かった。
だがそうすると、危険だとゼノの予測では出ていた。
7色草を巡りとても面倒な騒動に巻き込まれて、別れた2人から自分の情報が流れてしまう危険性が高かったのだ。
ゼノ達も未確認だが、7色草の医療効果は高い、高過ぎると予想出来る。
そしてそれを手に入れるためなら、権力者は誘拐や拷問でも何でもする。
だからゼノはここで2人を捨てる事が、後々自分の危険が増すと容易に予測出来たのだ。
魔道車……サンカイオーを受け取った3人は、その足で街を出て他国を目指した。
「サンカイオーはその名の通り、陸海空を制する車両を目指して作られた最新型の車両です。上空はまだ、強力な魔物に対する攻撃や防御の手段がないので。地上10メートルくらいまでを目安に飛ぶのが良いと、店員が言っていました。陸はそのままなので割愛します。水中は完全気密完全防水で。周囲の空間を歪める事が出来るので、水圧自体受けません。更に」
助手席に座るミラの車自慢を完全にスルーしつつ、ゼノは今後の方針について考えていた。
暫くして。サンカイオーを陸上走行させていたサリアに、話しかける。
「このままエルフの国へ行こう。青い薬草の話しはしただろ?彼を頼らせて貰う。最悪、あっちで7色草を出して国に保護を求める。今なら増えまくって、100株以上もあるしな!そりゃー、葉っぱ1枚無くなったって気付かないさ」
自分が逃げる理由が欲しかったのに、予想以上の危険を感じ。即座に逃げ出すも、チクチク責めるのを忘れない。
とても安定した、小物感である。
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