第33話 6日目

 ユニの電撃除名の翌日。

 ギルドへ訪れたゼノ達には、かなりの質問が訪れた。

 次第に個別での対応が難しくなり、サリアがキレた。

 用紙の記入台に飛び乗ると、昨日のあらましを説明。


 最初はあんな可愛い娘が、そんな事をするなんて信じられない。

 そんな雰囲気の傍聴達であったが。サリアがB級の戦闘万屋だと身分を明かすと、掌を返す様に信じ始めた。


 サリアはフォローも完璧で。

 今この場に居ないのは、彼氏と幸せな生活を始めたからで。

 除名を告げた後で大泣きしていたので、反省してもう2度と独善的な行動はしないだろう。

 そう言ってユニが万屋に復帰した場合の事まで考えて話しを終えた。

 傍聴達が散った後で職員に、飛び乗った記入台の掃除をさせられていたが。



 まだ受付けが渋滞していたので。顔見知りになった例の男性職員に、何か良さそうな依頼は無いか聞いてみた。

 すると戦闘万屋も基本は街中の依頼や常時依頼を熟し、D級まで上げるらしい。

 戦闘万屋がD級より上に上がるには試験が必要で、D級の試験はギルド指定の魔物を討伐する必要がある。

 以降は魔物討伐や狩りを中心とした斡旋を行ってくれるが、それまでは戦闘力を鍛える為に比較的安全性の高い仕事が回される。

 小冊子に書いてあった事ばかりだが、この数日の激動ですっかり忘れていたゼノとミラだった。


 南の川まで狩りに行くには、少しばかり遠い。

 何せサリアですら走って1時間弱かかるのだ。

 全員で歩いたらどれだけ必要になるか。

 かと言って西の森に行くにはまだ早い。

 昨日からちらほらと、奥の魔物が浅い場所まで出て来ているとの情報が入ってきている。


「サリアが知っている、他の都市に行ってみるのはどうだ?」


 ミラが勢いよくゼノの顔を見るが、サリアを見ていたので気付いていない。

 サリアは腕を組み、片手を顎に触れさせながら考えている。


「2人に丁度いい狩場が近い街ならひとつあるけど、そこは治安が悪くてな。だったらオフロードの魔道2輪買って、川まで往復した方が良いぞ」


「川には他の万屋も居ませんでしたし、暫くはメインの狩場にして良いと思います」


「2人共賛成なら、今日はバイク屋回ってみるか」


『賛成』

 こうして、ゼノ達の本日の予定が決まった。



 バイク屋を探して街を散策している最中。


「あっ…先の先の事まで考えるとさ。最高時速の出る大型バイクが良いと思うんだけどさ。近くの街に、魔物の大量発生を連絡する必要があるかもしれないし。そうなるとさ。俺、乗りこなせないんじゃない?だから今は中型買って、強くなったら大型かなって。2人はどう思う?」


「私はそれで良いと思いますよ。部屋にも入る限界がありますから」


「ええー。アタシは大型が良いー!タンデムにして、ゼノを後ろに乗せれば解決するしさー」


 どちらの言い分にも良し悪しがある。

 取りあえずは昼食にしようと、互いの良い点を説明し合う2人に声をかけるのだった。

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