真実に溶ける嘘

玖珂(仮名)

第1話 恐ろしく現実

夢のような要素が一切なく、現実こんなつまらないものだし残酷だよな。

その要素を凝縮した人生、それが俺だ。



-青春…熱い友情、甘酸っぱい恋、


そんなもの青春物語は無かった。

朝、目覚めたら朝食をとり、学校へ行く。

誰と話すでもなく授業をうけ給食を食べ、授業が終わったらそのまま帰宅した。

寂しかった。

だがそれを解決する術も事件なくサボりがちになりながらも義務教育を卒業した。

高校は何とか入ったものの、結局途中で居づらくなって中退、

熱血先生や、クラスメイトとの熱い友情なんてものもなかった。

風の噂だとその頃の担任の先生、生徒に手を挙げて解雇されたらしい。

恵まれてなかったな。


-10代中盤ひきこもりから、アルバイトをしたり、

不登校児の集いみたいな場所からの仲間との交流、人生のやり直し。


そんなものもなかった。

引き籠りがちだけど完全には引き籠っていなかった。だから引きこもりの集いには出席しなかった。

ただしアルバイトは長続きせず、転々としたため、そこでも仲のいい人は出来なかった。


-20代、本格的に社会に出ていき、社会の厳しさを知るも仲間の支えや激励により努力することと仲間の大切さを覚え人として成長していく。そして恋愛をし人として大人へと成長していく。


20代は10代中盤からの延長だった。

仕事を転々とし、恋愛はおろか、友情すら生まれない。

20代も後半になると、性格も意固地になっていき、ますます心に壁を作った。


30代以降を特に人生逆転劇みたいな物語は無くなっていき、

ノンフィクションで大人の引き籠り、就職氷河期世代の苦悩、そして60代、70代のホームレスといったテレビの特集が増えていく。


皮肉なことに其処にはしっくりきた。

俺の人生なんかドラマティックに進んでいく展開なんて一切ない。

ただ緩やかに落ちていく現実の厳しさだったり、自分の弱さだったり、

そういったろくでもないものの凝縮して集めたものが俺の人生だ。

だからこの先もどうせ決まっている。

今俺は35歳で、この先ドラマティックな事なんて起こるわけもない。

ただこのまま死んでいくだけだ。きっと孤独死だ。

変えられない現実と未来。


自分を変えたくないんですか?と近づいてくる奴はいるが、

だいたい正体はあれだ。

普段の自分ならそんなもの詐欺だと決めつけて拒むのに

あの時はそれほど気持ちが弱っていたんだろうな。









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真実に溶ける嘘 玖珂(仮名) @jardinachromatique

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