50cc原付バイクで日本一周 nonfiction episode

アオゾラ ライド

第1話 クビ宣告! 君は不協和音だ!

「君はこの仕事向いてない、他に向いてる仕事探したら?それに君の存在が不協和音だから居ないほうが良いのよ。」


中途採用で入社し2ヶ月を過ぎたある日の事、私は課長に呼び出されそう宣告された。

特殊な仕事だった為素人の私には中々うまく仕事がこなせず、また陰口の多い陰湿な職場に順応出来なかった私への「クビ宣告」だった。部署内から嫌がらせや悪口を言われたりもしていたが、なるべく無視して我慢していた。

心に課長の言葉の棘が刺さった痛みや悔しさの中、私は定時で仕事を終えた。

「お疲れ様でした、お先に失礼します」と退社の挨拶をするが返事はない。

いつもの事だ、挨拶くらいはしたらどうかと思うが期待しない。

今すぐこんな所から居なくなりたい、私の居場所はこの会社には無いのだと悟った。

会社のドアを抜けるが気分はずっと落ち込んだままだ、駐車場を歩く足取りが重い。

駐輪場の端っこで私を待ってくれている白い原付がある、HONDA ZOOMER。

この仕事に就く時に買った、少し高めの原付だ。

私は先日新調した黒のジェット型ヘルメットを、メットホルダーから外した。

まだ新しく頭には馴染んでいない。

沈んだ気持ちに少しでも良い空気を取り込もうと、私は深呼吸して原付のエンジンをかけた。

さあ帰ろう。


そのクビ宣告から暫く。

私は仕事を辞める決意をした。

いじめや嫌がらせが当たり前にある会社に未練は無い。

会社の役員に「退職届」を出した、私の意地もあり退職「願」では無く「届」とした。

辞めさせください、では無く辞めてやるの気持ちが強かった。書体も殴り書きの様な感じだ、今までの人生であんな殴り書きはした事がなかった。

退職までの1ヶ月間に再就職先を探す事はしなかった、漠然と頭に浮かんできた言葉に私は囚われていたからだ。


「日本一周」


退職後の進路は旅に出る事に決めた。



最後の挨拶にまで嫌味を言われたが今の私には怖くない。

私の辞める代わりに人員補充した人も、結局辞めるらしい。

私や他の社員の陰口を好きなだけほざいてろ、私はこんな汚い世界じゃなく広い世界に飛び出すんだ。

最後の出勤を終え、会社のドアをくぐる。

空は美しい夕暮れだ。

2008年4月末日晴れて私は無職となった。

ついに私、アオゾラライド(22歳)無職の原付バイクでの日本一周がスタートする。










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