夏祭りを控えて(7)

 そして小学生の時は当時の定番、白のブリーフだった。


 女の子用のショーツがここまで似合うのは、美少女顔でスレンダーな体つきをしている、ショタっ娘のミオだからこそだと俺は思うのである。


 たとえば、俺みたいなムサい男が好んでショーツを穿こうものなら、それこそ周りから大顰蹙だいひんしゅくを買うのはまず間違いない。


 もっとも、俺はショーツを穿くつもりも、見せびらかすつもりも毛頭ないので、全く意味を持たぬ推測なんだけれども。


 ちなみに近年のステテコは、それ単体でハーフパンツみたいな用途で着用し、お出かけできるほどオシャレなデザインのものもある。


 だからステテコなんておっさん臭い、という認識は、もはや過去の遺物になりつつあるのだ。


「でもボク、ステテコなんて持ってないよー。どうしたらいいの?」


「実を言うと、俺も持ってないんだよな。まぁ、今更買いに行くのも無理な話だし、普通にショーツだけでいいだろ」


「分かった! じゃ、取っておきのを穿いていくねー」


 ミオは俺の返事を聞くやいなや、再度、小走りで自分の部屋へと戻っていった。


 あの子の取っておきのショーツって、もしかして、結構前に触らせてくれたアレなのだろうか。


 浴衣を着てお出かけするんだから、下着なんて別に何でもいいんじゃないの? という考えがよぎったのは、俺が女心を分かっていない証拠だろうな。


 ミオは俺とのお祭りデートのためだけに、自分が最も気に入っていて、よほどのことが無いと穿かない下着を着けてくれるというのだ。そんな、彼氏への健気なサービス精神を喜ばずして何とするのか。


 ただ一つ、自分に言い聞かせるとするなら、当然ながらショーツは浴衣の下に穿くものなので、俺からは見えないし、進んで見ようとしちゃいけないものなのである。


「お兄ちゃん、着替えてきたよ!」


「え?」


 他に何か調べ物はないか、考え事をしながらネットの検索結果を眺めていると、背後からミオの呼ぶ声がした。


 何の気なしに振り返ってみると、そこでは鎖骨が、というかほぼ肩まで露わになり、胸元まで大きく開いているTシャツへと着替えたミオが、晴れやかな笑顔で立っていたのである。

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