初めてのカラオケ(8)
「ふぅ。ありがとな、ミオ」
「んーん。ボクの方こそ、無理言ってごめんね」
「いいんだよ、かわいいミオのためだからな」と、いつもなら言うのだが、さすがにレニィ君たちが見ている前でイチャイチャするのも何なので、ミオの頭を撫でるだけに留めておいた。
「次は誰が歌うんですか? ミオ君?」
タンバリンをテーブルに置いたユニィ君が、デンモクを持って尋ねてくる。
「あ。そうですね。僕も、未央さんの歌が聴きたいです」
「んー? レニィ君が先じゃなくてもいいの?」
「はい。僕はまだ、何を歌いたいか決めていないので……よかったら」
「じゃあ、次はボクが歌うねー」
ミオはユニィ君からデンモクを受け取ると、タッチペンを片手に、曲探しを始める。
果たしてミオは何を歌ってくれるのだろうか。
アニメソングが続いているから、この流れでもう一曲アニメソングが来るのかな?
「んーと、『夢を』……」
ん? 夢を?
そのフレーズが曲名の一部なのか、歌い出しなのかは分からないが、とにかくミオはこの短時間で、デンモクの使い方をほぼマスターしているようだ。
やっぱり子供は頭が柔らかいから、操作方法の飲み込みも早いんだろうなぁ。
まだ声変わりしていないミオの事だし、女性ボーカルの歌も苦にせず歌えるんだろうと思うと、いろんな曲が期待できる。
「あった! これで〝送信〟を押せばいいんだよね」
「うん、合ってるよ。ミオは何を歌うんだい?」
「えっとね、音楽の授業で習った曲なんだけど、お兄ちゃんは知ってるかなぁ」
送信ボタンを押したミオは右手でマイクを持ち、左手で胸の高鳴りを鎮めようとしている。
音楽の授業で習ったのなら、当然、教科書に載っている曲だという事になるよな。
あのコーナーで取り上げられていたのは、主によく歌われていた童謡や
例えば文部省(当時)唱歌である『村の
そうやって昔の名曲がどんどん
……まぁ、習っているのは童謡だけじゃないから、歌うのは違うジャンルかもな。
近年の教科書では、普通にJ-POPも教材として採用されるみたいだし。
とにかく何でもいいんだよ、かわいいミオの歌声さえ聴ければ。
今は勉強じゃなくて、カラオケという娯楽を
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